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ロボットがつくる未来社会とは?2022.8.1

歳を重ねた今でも、「ロボット」と聞くと胸が高鳴る。

私は、鉄人28号や鉄腕アトムの世代だが、子供のころ、テレビで活躍するロボットたちに胸を躍らせ、「正義の味方頑張れ」と、バラ色の未来を夢見ていた。

あれから数十年。ロボット技術の進歩はすさまじく、ガンダムのような人間乗り込み型、ドラえもんのような人工知能型、アシモのようなヒューマノイド、人間そっくりのアンドロイドと、多種多様なロボットが登場し、工事現場や料理の現場、そして福祉の世界など、社会全体に革命をが起こりつつある。

最近、私が興味を持っているのは「テレイグジスタンスロボット(分身ロボット)」だ。ロボットの視覚や触覚が、離れたところの操作者と共有され、かつ、操作側の手や足の動作と連動して動くことが出来る。操作者から見ると、まるでロボットに自分の魂が宿り、自分の体のような感じがする。私も体験したが、ロボットの目を通じて自分の背中が見えた時は、幽体離脱のような不思議な感覚にとらわれた。

このロボットを使えば、普段できないことが可能になる。

例えば、人間が行くことが出来ない、危険な場所で作業をしたり、エベレストのてっぺんで、ロボットを通じて、現場打ち合わせをすることもできる。遠隔地に住む両親を介護したり、歩くことが出来ないお年寄りが、海の中やミクロの世界を散歩することもできる。

実際、都内のある会社は、テレワークにこのロボットを使っていたり、体の障害でベッドから動けない人が、このロボットを通じて喫茶店で働く場面が、ニュースで紹介されたこともあった。

最近、メタバースのような仮想現実社会が話題になっているが、テレイグジスタンスロボットは、メタバースとリアルが融合する形なので、仮想現実ではできないことが可能になる。

しかし、検討しなければならない、いくつかの課題もある。

例えば、Aという国に操作者がいて、Bという国でこのロボットが動く場合、どの国の法律が適用されるのだろうか?もし、ロボットが違法行為をしたとしたら、どんな犯罪になるのか?また、B国の警察がロボットを拘束した場合、それは人権侵害になるのだろうか?さらに、そもそも出入国管理上、このロボットは「もの」なのか「ヒト」なのか?入国するとき、不法侵入罪が適用される可能性は?などなど、様々な論点が浮かび上がってくる。また、将来、このロボットが高度なセンサーを搭載し、人体と同様の感覚を作り出し、操作者と「一心同体」状態となったとき、誰かがこのロボットを破壊し、操作者に苦痛を与えた場合は、器物損壊罪なのか、あるいは傷害罪というべきなのだろうか?

このように、ロボット技術の高度化は、単に科学技術的な問題を超え、法律や倫理といった社会的課題を色濃く帯びてくる。

自動運転などでも同じ課題が見られるが、科学技術が素晴らしい進展を示せば示すほど、それをコントロールする社会側の対応の遅れが、気になってくる。

ロボットとの真の意味での共存社会をつくるには、今後、考えるべき課題がまだまだ多い。

(日刊自動車新聞2022.8.1掲載)

 

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