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「DXにどう向き合うか?」2022.1.7

授業中の大学生に、「もしスマホがないとどうなる?」と尋ねたら、「生きていけない」という答えが返ってきました。どうやらデジタル技術は、単なる便利という状態を超え、もはや私たちの生活全般に影響を与えているようです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)も、単なる業務のIT化を指すのではなく、ICTIoTAIなどを複合的に組み合わせて、産業構造や社会構造を、根本から変えてしまう要素を含んでいます。

GAFAのひとつのアマゾンは、ネット通販を進化させることで、世界各国に物流革命を起こし、映画館などのエンターテインメントビジネスを変容させ、消費者の意識と行動を一変させました。

また、使用されている「レコメンド機能」は、消費者の嗜好を把握し、商品を推薦してくれる便利なものである一方、私たちの潜在意識にまで入り込む点で、情報社会や文化といった、人間社会そのものに、大きな影響を与える可能性も持っています。

この意味で、DXは人類社会を真に豊かにする一方、進め方によっては社会的問題につながる側面もあります。今後は、社会と調和させながら、健全に育てていく必要があります。

しかし、日本社会のDXは、世界の先進国に比べて、一歩遅れを取っています。

経済産業省は「2025年の崖」という言葉を使って、日本の企業や社会は、古い経営感覚や社会通念を脱ぎ捨て、ICT社会に、正しく適応する必要がある。もしDXを行わないと、経済的には、2025年から年間で、現在の約3倍、最大12兆円の損失が生まれるだろうと報告しています。

日本は、今後、DXにどのように向き合っていけばいいのでしょうか?

ある研究者は、日本のAI研究は、先進国から2周遅れだと言います。

そういう状況の中で、日本は、「ソサエティ5.0」構想を掲げ、フィジカル空間とサイバー空間を、ビッグデータとAIを活用しつなぐことで、様々な日本の価値が融合した未来社会をつくろうとしています。その中に、ロボット技術とAIを連動させる計画もあります。

ロボット産業は日本が世界に誇る分野です。世界を席巻した産業ロボットはもちろん、ヒューマノイドや自動運転でも、日本は世界の先頭を走っています。

AIそのものの開発では遅れても、ロボットにAIが搭載される「ものつくり」とITが交差するIoT時代は、日本の起死回生のチャンスとなるかもしれません。

いまも続くコロナ禍は、皮肉なことに、社会のデジタル化を一気に加速し、テレワーク、遠隔医療、人工衛星による遠隔無人工事、スマート農業、ドローン宅配など、DXにむけた新しい生活様式を生み出し始めています。

その中で、最近注目されている「テレイグジスタンスロボット」技術をご紹介しましょう。これは離れたところのロボットと、操作する人が連動する技術です。

まず操作者は、センサーを通じて、ロボットの視覚や感覚を共有し、ロボットが体験していることを、あたかも自分が体験したように感じることができます。また、自分の体を使って、ロボットを自分の体のように操ることもできます。いわゆる「分身ロボット」の状態です。

この技術を使えば、人間が行くことができない災害現場や、海の底、宇宙空間、ミクロの世界でも、どこでも行って作業をすることができます。また、離れたところに住む年老いた両親の介護を、自分の分身として、ロボットにさせることも可能です。すでに都内では、体が動かない重い障害の人が、テレイグジスタンスロボットを使ってサービスする喫茶店も現れています。

このような試みも、今後日本が挑戦できる分野の一つといえるかもしれません。

とはいえ、DXを自分の会社や組織でどのように進めるのかは、むつかしい問題です。私は、取材していて、「AIを導入してDXをやる」ことのみが先行して、社内が混乱している社長さんを時々見かけます。当然なことですが、AIICTを導入すれば、そのまま、課題が解決するのではありません。その会社にどのような課題があり、どのような戦略で解決するのかといった、構造的な認識と問題意識があり、それとAIが結びつかないと、前進できないのです。その意味で、DXは単なる概念であり、魔法の杖ではありません。

まず自分の足元を見つめ、課題が何か?どうなりたいのか?というイメージをしっかりと持ち、DXに向き合っていくこと。そしてDXの中心には、常に人間がいることが必要です。その時初めて、真の意味でDXが花開くのではないでしょうか。

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