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「“心の安全基地”の大切さ」室山哲也 2019.12.18

数年前、JAXA主催で、世界の宇宙飛行士による「人はなぜ宇宙に行くのか?」という3日連続のシンポジウムがあり、私が司会をすることになりました。

その中で、「人間にとって冒険とは何か?」という議論が展開され、興味深い話が出てきました。

「冒険」は人間だけでなく、哺乳類もするというのです。

例えば子ネズミは、母親の元を時々離れ、探索行動をします。周りの環境がどうなっているかを確かめるために、周りをうろうろして、しばらくしたら慌てて母ネズミのもとに戻ります。母親はいわゆる「安全基地」。子ネズミは、安心して探索行動を繰り返し、精神世界を広げていくのだそうです。しかし大人になると、この探索行動は消え、子ネズミの「冒険の時期」は終了します。

しかし、奇妙なことに、人間だけは、大人になってもこの探索行動をやめない。

それは一体なぜか? 自分を守る親がいなくなっても、自分の友人たちや、グループ、組織、社会を「安全基地」として位置づけ、冒険を続けていくからなのだそうです。

つまり人間は「心の安全基地」を、成長の途中で切り替え、果てしない探索行動(冒険)を続ける存在だというのです。そしてこの行動を通じて、新しい発見をくりかえし、社会に持ち帰って共有し、文明を発展させていったというのです。

ウーム、いい話だなあ。

この話を敷衍すると、人類が宇宙に進出するとき、母なる地球がいつまでも豊かで、心安らげる場所でなければ「宇宙への挑戦」は成り立たないということになります。地球が荒れ果てた惑星となり、生活不能となった時、宇宙への進出は、「新しい文明を創造する冒険」ではなく、ただの「放浪」になるのです。

この話を聞きながら、私は、武蔵野東学園を連想しました。

娘の李紗は、武蔵野東の学園祭が大好きです。少し前から待ちわびて、そわそわしています。そこに行けばリサの名前を呼んでくれる先生方がいて、懐かしい友人たちにも会えるからです。李紗にとっての武蔵野東は、おそらく「心の安全基地」なのではないでしょうか。年を重ね、大人になっても、自分が帰るべき場所さえあれば、安心して歩みを続けていくことができるのです。

「心の安全基地」は、安心、成長、創造の源なのです。

今、私たちの周りに「心の安全基地」はどのくらいあるのでしょうか?

友人たちとつくるグループ、近所の方々、会社や学校、そして家庭・・。

日本という国のあちこちに「心の安全基地」がもっとできれば、子供たちは、もっと、すくすく育ち、冒険を続け、より豊かな社会を創っていってくれるに違いありません。

(娘のリサは自閉症で、幼稚園から専修高校まで、武蔵野東学園にお世話になりました)

 

 

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