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アポロ13号は地球そのものだ

室山哲也:昔の作文図書館

 

アポロ13号は地球そのものだ(2006.5.8

 

この連休は自宅でのんびりとしながら昔の映画を何本か見ました。

その中に「アポロ13」という感動的な映画がありました。

ロンハワード監督が、トムハンクスなどの名優と、最先端の映像技術を駆使して作り上げた傑作。今から36年前のちょうど今頃、アメリカで(というより宇宙で)、実際に起きた出来事をもとにつくられました。

 

アポロ計画は、米ソの熾烈な宇宙開発競争の中で、「月に人間を送り込む」ことを目的に、アメリカがはじめた巨大プロジェクト。その計画の途上、歴史に残る深刻な事故が発生したのです。

 

1970年の4月11日に打ち上げられたアポロ13号は、月に向かう途上、司令船の酸素タンクが爆発するという前代未聞の事態に直面しました。被害は、船内の電気、水、生命維持装置などにおよび、乗組員の生命が深刻な危険にさらされました。アメリカは既にアポロ11号で、人類史上初の有人月面着陸を成し遂げており、その直後のこの事故に、強い衝撃を受けました。

その意味では、アポロ13号の事故は、アメリカの宇宙開発の汚点ともいえるかもしれません。

しかし私は、アポロ11号よりも、このアポロ13号こそが、アメリカの宇宙開発が持つ底力を示す「快挙」なのではないかと思います。

映画の終わりに「アポロ13号は栄光の失敗だ」という言葉が出ますが、同感です。アポロ13号の物語にはある種の感動と共に、現代に生きる人類への深いメッセージが秘められていると思うからです。

 

私がアポロ13号を見て感動するのは、地球帰還に至る、試行錯誤に満ちたプロセスです。

 

アポロ13号の様子を外から撮影した写真を見ると、酸素タンクの爆発で大きな穴があき、ただならぬ被害だと分かります。この状態では月面への着陸どころか、地球帰還すら不可能です。結局アポロ13号は月面着陸を諦め、月の軌道を回った後、6日後に地球帰還を遂げるわけですが、そのプロセスは想像を絶する苦闘となりました。

アポロ13号の船内は、電力低下、極端な室温低下、酸素欠乏、二酸化炭素増加など、呼吸そのものもままならない、最悪の状況でした。

 

この危機をどのように克服するのか。

 

NASAのチームは、まず地上にアポロ13と同じ環境の部屋を再現しました。そして乗組員との交信の中で、船内にどのような物が残っているのか、どれが使用可能か、克明なリストを作っていきます。検証は、ゴムホース、ひも、ビニールテープ、靴下にまでおよびました。普通なら見落としてしまいそうなあらゆる物が、生存へのカギとなるからです。そして船内で次々に起きていくトラブル(温度低下や電力低下、二酸化炭素上昇など)に対して、地上で実験を繰り返し、解決策をアポロの乗組員に連絡。乗組員はその方法を船内で実践していきます。たとえば、二酸化炭素の上昇を食い止めるために、数センチのゴムホース、ビニール膜、靴下を組み合わせて奇妙な装置を作り、それを二酸化炭素浄化フィルターと接続して問題を解決するといった案配です。

その結果、船内はまるでパッチワークのような状態になっていきましたが、見てくれはとにかく、人間が生き続けられる環境がかろうじて作られ、1つ1つの危機を乗り越え、ついにアポロ13号は、地球帰還を果たすことが出来たのです。

 

私はこのシーンを見て、今私達が暮らしている地球と似ていると思いました。

温暖化や地球汚染が進行し、牙をむき始めた地球災害の中で、人類は限られた資源と知恵をつかって生き延びていかなければならない。サバイバル技術と運用する人間のチームワークがその成否のカギとなる。

これは、アポロ13号と全く同じシチュエーションではないでしょうか。

 

私達人類は、地球を捨てることは出来ません。この星の上にある、限られた資源や物質を使い、知恵を働かせて環境を守るシステムを作り、生き延びていくしか方法はないのです。

その意味で、知恵と勇気と協力で、見事に危機を乗り越え、生還を果たしたアポロ13は私達人類のモデルケースといっても良いかも知れません。

 

 

 

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