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時論公論「COP21開幕 どうなる?地球温暖化交渉」2015.11.30

●COP21がはじまった 

地球温暖化を食い止めるための国連会議COP21が、パリで始まりました。およそ150の国と地域から首脳が集まるなど、この問題に対する意識の強さを示しています。今夜は、今後の世界の環境、エネルギー政策に大きな影響を与えるCOP21について考えます。

●地球温暖化の現状は?

地球温暖化は、どのような状況でしょうか?最新の報告によると、地球の平均気温は上がり続けており、今後、追加的な対策をとらないと、2100年までに、産業革命から最大で5.4度上昇し、世界各地で、異常気象が増加、海面上昇、北極海の夏の氷の消滅、生物多様性の減退など、取り返しのつかない影響が出るとされています。この事態を避けるため、世界各国は、現在、地球の平均気温を「産業革命から2度未満」に抑える目標を設定しています。しかし、そのためには、世界の温室効果ガス排出量を、2050年で40-70%削減し、2100年にはゼロもしくはマイナスにするという大変な努力が必要です。COP21はこの数字に向かって、どのような長期目標を立て、公平で有効な手法を確立し、行動していくのでしょうか?

●COP21の議論のポイントは?

その、議論の柱をあげてみます。まず、2020年以降の「すべての国が参加する実効性のある体制」を作る必要があります。今までの国際的な地球温暖化対策は、京都議定書に基づく2008年からのものだけでした。しかし、当初参加していたアメリカが離脱し、EUや日本など一部の先進国のみが、対策に当たることになりました。CO2排出量を合わせて、世界の3割に満たないため、地球温暖化が止まることはありませんでした。当時、中国は途上国の一員で、CO2排出量も今日ほど多くはありませんでした。しかし、その後の発展で、世界最大の排出国となりました。2位のアメリカと合わせると、世界の4割以上。もはや、米中を含めた、世界規模の体制をとらなければ、温暖化を食い止めることはできず、COP21の最大の目標は、「すべての国が参加する実効性のある体制」ということになったわけです。

議論の2つ目は「産業革命からの気温上昇を2度未満にする」目標を、どう実現するかということです。すでに、世界の排出量の9割を超える、180以上の国から、温室効果ガス削減の計画が提出されていますが、すべての数字を合わせても、2度目標を実現することはできず、3度前後まで、上がってしまうことが分かっています。各国の目標が「自主的な削減目標」なため、どうしても数字が甘くなるのです。

産業革命から、気温が2度あがると、地球に何が起きるのでしょうか?台風、洪水、干ばつなどの「異常気象」、食料や水の分布の変動が生み出す「各国への影響の格差」、災害などがもたらす「世界経済全体へのダメージ」で見てみます。「黄色」は、温暖化の影響がはっきりと表れることを示し、「赤」は影響が深刻で広い範囲に及ぶことを示しています。わかりやすくするために、「赤」のはじまりに横線を入れます。

産業革命から2度上昇はこのラインです。「異常気象」の項目は、すでに深刻なラインを超えています。しかし、「影響の格差」は赤の手前ぎりぎり、世界経済のダメージは、影響がはっきりとはしているものの、広く深刻な程度には至っていません。

気温上昇が3度前後になるとどうでしょうか?いくつかの国際機関が、2.7度から3.5度上昇までの報告を出しているので、その範囲も示してみます。「異常気象」はますます深刻化します。

「影響の格差」も赤になるラインを越え、途上国など対策をとる体力がない地域に、深刻な影響を及ぼします。世界経済のダメージも赤ラインギリギリに迫っています。このレベルになると、温暖化による被害がもとに戻らない「不可逆的変化」が起きる可能性もあると指摘されています。

世界の温暖化対策を、さらに前進させるには、どうすればいいのでしょうか?まず、「各国の対策の内容を定期的に見直し」、「新しい削減目標が、常に前のものより前進している仕組みをつくる」こと。「情報をガラス張りにして、チェックできるシステムをつくる」こと。そして「参加国が離脱することなく、共に努力を続けていけるようにする」などが必要です。

議論の3つ目は、温暖化被害を減らしたり、予防する「適応策」の確立です。温暖化被害を食い止めるためには、まず、CO2の排出を減らすことが大切ですが、残念なことに、それだけでは、もはや温暖化による被害を食い止めることができない状況です。沿岸諸国では、海面上昇、豪雨や干ばつによる被害も報告されています。そしてそれらの被害は、対策を取る体力がない途上国や、先進国でも社会的に弱い立場の人々に起きやすい特徴があります。今後は、世界が協力して、温暖化がもたらす被害に向き合う「適応策」を進めていかなければなりません。

●途上国支援をどうするか?

以上COP21の課題をいくつか列挙しましたが、これらを解決するためには、「途上国に対する支援」が欠かせません。途上国は、資金や技術協力がなければ、自らの力で目標を達成することが難しいからです。しかし現実には、途上国と先進国の対立が、とりくみのスピードを鈍らせてきました。「先進国」側から見ると、温暖化を九止めるには、今後発展し、CO2排出も増える途上国の参加は不可欠で、平等に向き合うべきだとなり、「途上国」から見ると、今日の温暖化の原因は、経済成長をしてきた先進国にあり、途上国が豊かになる権利を抑え込むのは理不尽だとなります。また、中国などのように、もともと途上国でも、経済発展で先進国的側面を持つ国も現れ、先進国と途上国の分類そのものが複雑化している状況もあります。

●議論を複雑化させるもの

温暖化対策をさらに難しくする事実も報告されています。先進国、途上国にかかわらず、国や地域によって、温暖化の影響に、ばらつきがでる現象です。これは気温上昇が2度になった時の、世界の漁獲可能量の変化を示した図です。「青」は漁獲量が増え、「赤」は減ることを示しています。温暖化で水面温度が変わり、生息環境が変化するため、魚が移動し、その結果、漁獲量が変動してしまうのです。このほかにも、気温上昇が2度に近づくにつれ、農作物(のうさくぶつ)の収穫量が減る国と、増える国が出るという報告もあります。このように、温暖化のプロセスで、利益と損失が相反する国が出ることによって、世界の足並みが乱れる背景があります。しかし、その後、気温上昇が4度までになると、そのばらつきが消え、全ての国が、農業、漁業、健康等において被害をこうむる立場に追い込まれることも分かっています。

●まとめ

COP21は、今後、2週間にわたって開かれます。地球温暖化という、複雑で巨大な現象に、世界はどのように向き合い、答えを出すことができるでしょうか?

地球温暖化は、今まで人類を豊かにしてきた石油などの化石燃料が生み出す「落とし穴」ともいえる現象です。この問題を解決することは、ある意味、私たち人類が、どのような未来の文明を目指すのかを問うことでもあります。対立を乗り越え、「知恵ある結論」に至るよう、その成り行きを見つめたいと思います。

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