キラリ「IPCC閉会 どうなるの?温暖化対策」2014.4.16
(アナ)
今週日曜日、ドイツで開かれていた温暖化についての国際会議IPCCが終わった。室山解説委員。どんな会議だった?
(むろ)
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、世界の科学者の研究を集約して、温暖化の現状対策についてまとめる国際会議。今回は5回目で、7年ぶりの発表となった。今後、世界の環境、エネルギー政策に大きく影響を与えることになる。
(アナ)
どんな内容?
(むろ)
今までの報告をもとに、新しい情報も付け加えられた。まず、「温暖化は人間活動により、間違いなく進行している」と、前回よりも強い言葉で表現したうえで、有効な対策なき時は、「今世紀末、世界の海洋の水位は、最大4.8度上昇」するだろうと述べている。世界はCO2削減努力をつづけてはいるが、人口増加と経済発展で、温室効果ガスの排出は増加を続けている模様。そして有効な対策が取られない場合、「海面上昇が最大82センチ(今世紀末)」に及ぶと記述。この数字は前回のものよりも大きく、海の水の膨張に加え、南極、グリーンランドの氷床が、海に流入する要素が盛り込まれたことが原因。そして「世界沿岸地域で「浸水」「洪水」「浸食」(特に途上国)で、被害が増大する」と指摘している。日本な場合、海面上昇60-63センチで、砂浜が最大85%消失するという計算があり、事態の深刻さが想像できる。さらに「異常気象」が今後増大する可能性があり、「世界のほぼ全域で高温化」「中緯度(大陸)+熱帯で極端な雨」「乾燥亜熱帯地域で水資源減少」などが起き、水資源争奪という、事態が起こる危険性を指摘している。
(アナ)
場所によって影響がちがうんですね。
(むろ)
温暖化による気候変動という言葉があるが、均一に気温上昇があるのではなく、降雨パターンも場所によって変わっていく。その結果、農業がついていけず、経済的ダメージが出てくる。つまり温暖化問題の解決は、各国の違いを背負いつつ、地球全体の問題を解決するという、複雑な状況がうまれている。
(アナ)
人間社会への影響は?
(むろ)
農業への影響は、「気温が2度上昇すると、一部収量増加の場所はあるが、世界全体では収量減少状況になる。」「4度上昇でますます深刻な状況となり、世界の食糧安全保障に大きな影響」が出ると指摘している。健康面では、例えば日本では、「熱中症死亡率が2倍以上」になるなどの課題がある。
(アナ)
対策どうする?
(むろ)
いままではCO2の排出を減らす「緩和策」が中心だったが、もはやそれだけでは不十分で、温暖化による影響を減らす「適応策」(たとえば、海面上昇に備えた堤防作り、高温に備えた品種改良、感染症対策など)も同時に行う必要がでてきた。もちろん「緩和策」は大前提で、再エネ、CO2を閉じ込めて貯留する設備を備えた高効率天然発電などの低炭素型エネルギーが必要。原発も稼働中はCO2を出さないのだが、核廃棄物などの課題があり検討が必要。
(アナ)
2度上昇に抑えるためには、どのくらいCO2を抑制すればいいのか?
(むろ)
計算では今世紀末には、排出量ゼロ、あるいはマイナス(大気中のCO2を回収するなど)になっている必要がある。この数字は極めて重く、今後大きな課題が残る。
(アナ)
今後どうなる?
(むろ)
今後各国は、さらに多くの削減が必要となる。また途上国への支援も必要。
(アナ)
市民はどうすればいいか?
(むろ)
何かをやって即解決というわけにはいかないが、地球の変化に思いをはせ、子孫のために持続的に行動していく態度が重要。
(アナ)
ありがとう
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