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時論公論「地球温暖化COP19が残した課題」2013.11.29

(むろ)

先週までポーランドで開かれた、温暖化防止の国際会議COP19は、わずかな進展はありましたが、先進国と途上国の利害がぶつかり合い、会期が延長され、やっと終了しました。台風で多くの死者を出したフィリピンの代表が、温暖化対策の必要性を涙ながらに訴える一幕もありました。今夜は、COP19の成果と、残された課題について考えてみたいと思います。

COP19の目的は?

COP19では、何を決めることが目的だったのでしょうか?1つ目は「2020年からの、すべての国が参加する温暖化対策」の段取りをつけることです。2つ目は、2020年までの、温室効果ガスの削減をどうするのか?各国の数値を確認、検討することです。3つ目は、温暖化に対処しつつも、被害に見舞われた途上国などを、国際的にどう支援するか。ということでした。

決まったこと①(2020年以降の体制)

COP19では、次のことが決まりました。ひとつは、「2020年からの削減目標などは、各国が自主的に決める」そして、その内容を合意する、2015年のCOP21より、余裕をもった前の時期に、案を提出し、多国間でチェックする」ということです。これは、今までの温暖化対策とは大きく違うやり方です。

2012年末まで行われた「京都議定書」の方式では、EUや日本など先進国の一部に、温室効果ガス削減を義務付け、実行できないときは罰則規定を設けるなど、強制力があるものでした。ところが、EUや日本など、参加国のCO2全排出量は、世界全体のわずか26%。一方、削減義務を免れたアメリカと中国を合わせた数値は40%以上もあります。したがって、温暖化を食い止めるには、どうしても、アメリカや中国が参加する、すべての国による体制が必要だったわけです。しかし、京都議定書のように、厳しい方式では、アメリカは、議会の同意が得られず、中国も、経済成長重視のため、結局、削減量を、「自主的に決める」ということになりました。そして、各国の削減目標を、国際間で事前にチェックし合えば、有効な成果を出せるのではないかと考えました。しかしこの体制は、途上国から見ると、まだ異論があります。そもそも地球温暖化は、温室効果ガスをまき散らして発展した先進国に責任があり、平等に対策をするのはおかしいというわけです。そして「財源がない途上国に対しては、先進国からの資金援助が不可欠だ」と主張しました。そのため、COP19では、途上国が削減目標や行動計画をつくれるように、2014年の早い時期に、先進国が「資金援助」をすることが決まりました。ただし「支援できる国は」という前提付きで、実現可能性に課題が残りました。もう一つ。温暖化で、今後増えるとされる、スーパー台風や洪水などに備え、科学的情報を集めたり、既存機関との連携を図って、途上国支援を強化する新組織をつくることも決まりました。これは、今までなかった合意で、温暖化による異常気象が、現実になりつつある危機感が、各国に広がり始めていることを示しています。

決まったこと②「2020年までの削減体制」

しかし、2020年からの全ての国による体制を、なぜ、京都議定書が終わった2013年から始めなかったのでしょうか。実は、中国とアメリカの綱引きで、調整に手間取り、7年間の空白が生まれてしまいました。そこで、とりあえず、EUなど一部の国が京都議定書を延長して対策にあたり、その他の国は自主的に削減量を決め、国連に報告しながら、実行することになりました。その削減目標は、各国からすでに出されています。しかし、これら全ての数字を足しても、温暖化の影響が深刻化することを食い止める「気温を、産業革命から2度上昇までに抑える」ことはできず、さらに目標を深掘りする必要があると指摘されてきました。この状況で、日本が出した削減目標が・・「3.8%減(05年比)」という数字です。実は日本は、4年前の民主党政権の時、25%減(90比)という数字を発表しています。しかしその後、原発事故が起き、目標の達成が困難になり、エネルギー計画もきまらない状態が続きました。国際交渉上、数字を宙ぶらりんにすることもできないため、原発の稼働がゼロの現状をもとに算出した「暫定的な数字」が出されました。しかし国際社会の目は、厳しいものでした。この数字は90年比に換算すると、3.1%増となり、4年前の25%減とのギャップがあまりにも大きいからです。COP19では、「日本が世界の温暖化防止の努力にブレーキをかけている」「対策を率先すべき先進国がこれでは、途上国がやれるわけがない」と、批判する国も出てきました。

今後に残された課題

COP19の議論の状況は、大体このようなものですが、私が最も重要だと思うポイントは・・「温暖化を本当に止めるための「実効性ある対策」をどうつくるのか」ということです。

たしかに「自主的削減」は、積みあげ方式で、現実的ですが、実際は、各国の都合のいい数字になりやすく、対策として甘くなってしまいます。今後は、各国の数値目標を厳しく吟味し、真に、温暖化の防止につながる、実効性のあるチェックシステムを作り上げることが、何よりも重要です。9月に発表されたIPCC5次報告によると、地球温暖化は、今も進んでいます。「CO2の増加と地球平均気温の上昇は止まらず」「猛暑など異常気象との関連も明らかに」なってきました。また、「このまま温暖化が続くと、今世紀末には、この20年間と比べて、最大82センチ海面が上昇する可能性が高い」とも報告しています。日本の場合、海面が65センチ上がるだけで、全国の砂浜の8割が消失するといわれています。また、海面上昇は、台風や高潮と連動して、対応力の弱い途上国に被害を出しやすく、大きな国際的問題の原因になります。科学者の中には、もはや温室効果ガスの削減だけで温暖化は止まらず、被害対策に向けて、もっとかじを切るべきだ、と警告する人も出ています。人間界の綱引きをよそに、地球温暖化は刻々と深刻化し、「今そこにある危機」になってしまいました。

まとめ

私たちは、温暖化にどう向き合い、行動していけばいいのでしょうか?まず日本は、何よりも早く「エネルギー計画」を打ち出す必要があります。原発の稼働率をどうするかの議論がありますが、どの路線をとっても、日本の原発依存は減少方向で、原発に代わる代替エネルギーの育成が急務です。メタンハイドレートなどの国産エネルギーを発掘し、日本の自然力を駆使した再生可能エネルギーを育て、電力自由化の中で、リスクにも強い、低炭素の社会を作っていかなければなりません。また、日本が得意とする省エネ、環境技術をさらに発展させ、途上国に貢献することで、温暖化対策を進めていく必要があります。世界のルールを待つのではなく、出来ることから2国間で実行し、温室効果ガス削減の実績を、データで示していくことも大切です。そしてそのためには、何よりも、国民の納得と協力が前提となります。残された時間はもうほとんどないといえます。変化し続ける地球環境の中、日本もまた変化しなければなりません。

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