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「太陽異変 地球が寒くなる?」2012.5.14

●太陽に何が起きている?

最近、国立天文台が、太陽観測衛星「ひので」の観測結果から、「太陽活動に変動が起きている」と発表。マスコミで各種の報道がなされ、若干の騒ぎになりました。太陽活動の低下は、地球の気温の低下につながるという考えがあり、今後は「温暖化」ではなく「寒冷化」に向かうかもしれないという報道です。いったい何が分かり、何が分かっていないのか?現状をまとめてみたいと思います。

●太陽観測衛星「ひので」の観測結果とは?

近年太陽研究が進歩して、地球からと宇宙からの観測が続いています。2006年には太陽観測衛星「ひので」が打ち上げられ、宇宙空間からの観測で、太陽について、色々なことが分かってきました。太陽は、いわば巨大な磁石で、普通の磁石と同じような形で磁力線が出ています。太陽から出る磁力線は、太陽活動に深く関連しており、磁力線が強いと太陽活動が活発、弱いと太陽活動が弱いという相関があるといわれています。さて、地球と同じように、太陽にも南極と北極があり、それに従った磁力線の分布がありますが、太陽の場合、およそ11年ごとにその2極構造が反転します。現在の太陽の磁場は、北極がマイナス、南極がプラスが続いていました。正常なリズムでは、次はそれが、北極プラス、南極マイナスに逆転するはずでした。ところがひのでの観測で、不思議な状況が見つかりました。ひのでは宇宙空間から太陽の磁場の様子を克明に観測し、南極と北極の磁場分布を、上からのぞいたような形で知ることが出来ます。その結果、2008年-2009年の観測では、予想通り、北極がマイナス(赤)、南極がプラス(青)の分布を示していました。ところが不思議なことに、2011年-2012年では、南極は変化がないのに、北極だけプラスに変化(青が増える)状況が出てきました。もしも、この不規則な状況が続くと、南極北極ともプラスという異常な状態につながってしまうことになります。南極と北極が同時にプラスということになると、磁力線はどうなってしまうか?国立天文台によると、マイナス極が赤道付近にでき、いびつな4重極構造になる可能性もあるといいます。これは、「ひので」による観測で初めて分かったことで、その原因やメカニズム、また、かりに4重極構造になってもそのあと正常の2極に戻るかどうかも分かりません。全く謎に満ちていて、わからないことだらけですが、「太陽に何かが起きている」ことだけは確かです。

●太陽の健康診断をするもう一つの方法

太陽の健康診断をするほかの方法はないのでしょうか?昔からの観測方法に、黒点の数を数える方法があります。黒点は、じつは、太陽の磁力線の出入り口で、黒点の数は、太陽が磁場を作る能力をほぼリアルタイムで表しています。それを使って太陽活動の大きさを知ることが出来るのです。太陽の黒点の数の変化を示したものをみると、太陽の黒点は、およそ11年周期で多くなったり少なくなったりしているのがわかります。黒点が多いと太陽活動は活発、少ないと不活発といわれますが、今までは、黒点が減っても、必ず一定のリズムで黒点が増加に転じ、太陽活動は元に戻っていました。ところが、最近、異変が起きています。通常のリズムでは、御覧のようなカーブで、黒点の増加が予想されるのに、いっこうに増加せず、周期も12.6年にのびました。

●地球が寒冷化したころに似ている?

気になるのは、これと似た状況が過去にあったことです。黒点の数の変化は400年前のガリレオによる観測以来、科学者たちによって調べられてきましたが、最近の傾向(周期ののびなど)が、かつて起きた「マウンダー極小期」とにているというのです。「マウンダー極小期」は、300年前に起きたといわれる寒冷化の時期で、その間は、黒点がほとんどない状況が70-80年続いたのです。当時の資料によると、イギリスのテムズ川が凍結したり、京都も非常に寒くなったという記録があります。このように、当時、局地的には極端に寒くなった地域もありましたが、北半球平均気温からみると、現在より-0.6度、マウンダー極小期の前後からみると-0.1-0.2度寒くなったのではないかとされています。

  

●地球の気温はどうなるのか?

もし、「マウンダー極小期並みの現象」が今後起きたら、地球はどうなるのでしょうか?「温暖化」との関連で見てみると、地球温暖化は、シミュレーションによって、今後100年で、地球の平均気温が1.1度-6.4度上昇するとされています。これと比較すると桁が一つ違い、もしもマウンダー極小期のような現象が起きても、温暖化の構図は変わらないことになります。この結果から、現在のところ、太陽の異変が見つかったからといって、ただちに極端な寒冷化が起き、例えば地球が「氷河期」に入るようなことは起きないだろうと思われます。そういうわけで、今後とも地球温暖化対策は続ける必要がありそうです。ただし、宇宙や地球の気候や気象は、わからないことが多く、今回の太陽の磁場変化についても、本当の状況を正しく把握するためには、あと10年は、きちんと太陽観測を続けないとわからないと国立天文台は説明しています。こんごも、科学的視点を失わず、冷静に研究を続ける必要があるのだと思います。

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