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2010年11月

テレビマンの育児日記2「みんな違ってみんないい」2010.11.28

今年10月、COP10(生物多様性条約の国際会議)が名古屋で開かれました。今地球には、名前がわかっているものだけで145万種、未知のものを入れると3000万種(学者によっては1億種)の生物がいます。地球誕生後、最初の生物から始まって、遺伝子が果てしなく組み換えられ、生物は「多様化」の方向に進化してきました。そして目に見えない複雑な因果の糸でつながれ、「共存共栄」の巨大なシステムで、生かしあっているわけです。その生物多様性が、今、自然破壊や乱獲などの人間活動で、急速に壊れ始めています。今までの地球史でも、種の絶滅は何度かありましたが、こんなに急速におきたのは初めてです。生物学者はこの状況を、よく飛行機にたとえます。145万種の部品でできている飛行機が、毎日たくさんの部品を落としながら飛んでいるようなものだというのです。私たち人類も、生物の仲間。植物が作る酸素で呼吸し、動植物を食べて生きていることを思うと、生物多様性の危機は、そのまま人間の危機にもつながるわけです。

私は、COP10の取材を通して、「多様性」の大切さを学びました。なぜ生物が多様化してきたのかというと、環境の激変にも生物全体として耐え、生き延びることができるからです。船室がひとつの船よりも、いくつもの船室に分かれているほうが、座礁したとき沈まないように、生物も多様なほうが、環境の変化に順応し、生き延びることができます。会社も、様々な能力の社員がいるほうが、経済社会の激変に適応し、新しい商品開発ができるし、農業だって、単一作物の巨大な農地よりは、複数の作物をモザイク状に植えた農地のほうが、害虫の被害を最小限にとどめることができます。こう考えると、「多様性」は、生物が長い歴史で生み出した、絶妙のメカニズムだといえます。この原理は、私たち人類の存在の根底にも、きっと流れているはずなのです。

私は「みんな違ってみんなイイ」という言葉が好きです。人間社会にも様々な文化や個性があり、それぞれが共鳴しあい、影響しあい、共存することが大切です。しかし、残念なことに人間は、現代文明で社会を均一化し、多様性を失う方向にあります。私たちは今、「生物多様性」という言葉をもう一度噛み締め、その中に秘められた普遍的な意味を、読み取る必要があるのではないでしょうか。社会に様々な個性の市民が暮らし、異なる文化を尊敬し、協調しあう社会に、私たちの子供は生きていてほしいと思うのです。

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硫黄島での不思議な体験

皆既日食中継で硫黄島に行ったとき、不思議な体験をいくつもした。硫黄島には戦争中の遺骨がまだ1万も眠っている。自衛隊宿舎にお世話になり、10日程滞在した。硫黄島に着いた日、灼熱のジャングルの中を慰霊で回った。そこここでの戦闘を想像して、その緊張感からなのか、次第に息苦しくなり、背中や肩が重くなってきた。余りにも苦しいので、手に持っている水を、行く先々で撒いていったら、重みと苦しさが消えた。夜、宿舎で眠っていたら、部屋のドアを強く2回ノックする音。しかし不思議なことに開けても誰もいない。深夜になって寝ているとき、突然、頭をごつんと強く殴られ、目が覚めた。実際に握りこぶしでごつんと殴られたリアルな感覚。硫黄島での体験は、いったいなんだったのだろう?

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スタパ「注目される神経リハビリ」2010.11.4

(アナ)

脳波などの脳の信号を使って、脳卒中の障害をなおすなどの「神経リハビリ」が注目を集めている。室山解説委員。どんなもの?

(むろ)

脳と体は連動している。体を動かす時は、運動野からの信号。指が何かに触れて圧力などを感じるときは感覚野が活動する。その経路が絶たれたりすると、感覚まひや運動障害があらわれる。神経リハビリは、脳波などの脳や神経系の信号をとらえ、それを利用してリハビリを進める手法。慶応大学理工学部の牛場先生の研究室では、脳波を使って、パソコン上の仮想空間(セカンドライフ)内のキャラクターを動かすことに成功。さらに、筋ジストロフィーの患者さんと、10数キロ離れた場所の学生さんが脳波を使って、セカンドライフ上で会い、コミュニケーションすることにも成功した。

(アナ)

どんな意味がある?

(むろ)

体が不自由で、社会での活動ができない人の社会活動を、セカンドライフ上で可能にする。このシステムを使えば、リアル社会にあるロボットなどを動かすこともできることになる。

(アナ)

これをどう医療に応用するのか?

(むろ)

脳卒中患者のリハビリにそのシステムを使って成果をあげ、世界的に注目されている病院がある。慶応大学医学部の里宇先生のチームは、重度脳卒中患者で片マヒ(指のびない)の患者さんに、この手法を使い、治療に向け研究中。手動かす(指をのばす)イメージをしてもらい、脳波抽出し、電動装置を動かす。これを繰り返して、治療を行うことで、装置なくても回復に向かった。別の患者の映像を見ると、治療前は、指のびないのに、2週間の治療後は、「装置なしで」指がのびるようになり、歯みがきブラシが持てるまでに回復した。

(アナ)

装置なしでなぜ回復?

(むろ)

例えば、運動野からの出力がうまくいかず、体性感覚野へのルートが機能している患者さんの場合、放置していると入力計もだめになってします。そこで、電動装置を使って脳波で操作させ、出力、入寮の両ルートを機能させ続けると、出力系の神経ネットワークが再編成され、装置がなくても動くようになる。別の患者の脳ん機能の変化をみると、治療によって、脳の運動野の活性化が起きていることも分かる。全体成績をみると、15人中、6-7割が改善し、中には、70歳代で回復している例もある。

(アナ)

神経リハビリ。今後どうなる?

(むろ)

現在本格的医療に向けて研究中。オールマイティではないが、リハビリのプロセスを強力に支援する手法として期待できる。また医学と工学が融合している点がユニークで、重要。今後に期待したい。

(アナ)

ありがとう。

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ものつくりの呪縛とは?

先日「中国のロボコンの現場に、ものつくりの原点を見た」と書いた。そして「それから学ぶべき」とも書いた。その後、友人に意見を求めたところ、「単なるものつくりの過去に戻っても仕方がないのでは」との意見。なるほど、歴史が進化していく中、昔と同じ手法を適用しても、状況を突破する起爆剤になるわけがない。問題は、ものつくりで学んだ精神やノウハウを、どのように未来に向かって質的変換させ、前進するのかが問われているのかもしれない。友人はそれを「ことづくり」と呼んでいた。

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ABUロボコン誕生の夜

今から10年以上前、渋谷の一角にある、傾きかけたおんぼろ料理屋の2階で、ABUロボコンは生まれた。当時私は、NHKエンタープライズでロボコン担当のプロデューサーをしていた。NHKがやっている3つのロボコンを維持する為に、毎日走り回っていた。その中で、最もお先真っ暗なロボコン(大学部門国内大会)があった。NHK内部のお偉いさんの意見のほとんどは、そのイベントは中止すべきというものだった。私は激しく抵抗し、国内大会を「国際化」することで生き延びようともがいていた。しかし四面楚歌、資金のめども立たず、周囲の反対で、もうだめかと思っていた矢先、NHK会長の特命を受けたある人物(後の理事)と、たまたま食事をする機会があった。ほろ酔いの中、「何かNHKが世界に貢献出来ることはないか」と問われ、私は「ロボコンをアジア各国の若者でやりたい」と持論を展開し、直訴した。酒の宴がすすみ、その日はそれで終わった。翌日、その人物から、ABU(アジア太平洋放送局連合)の事業として展開できるかもしれないとの電話が入った。私はびっくりしたが、事態はあれよあれよとトントン拍子に進み、1週間後、ABU理事会で決定してしまった。現地滞在中のNHK会長から電話を頂き、私はそれを呆然としながら知った。その後、ロボコン関連のプロデューサーたちと、世界各国を走り回り、ロボコンを説明し、実現方法を説いて回った。「アジアの青少年を育てる教育イベント」をつくりたいという一心だった。あれから10年。ロボコンの精神は、アジア太平洋40カ国の参加国の中に広がろうとしている。「自分の頭で考えて、自分の手でつくり、それを操作する」人類普遍の喜びを、体全体で表現する青年たちを見て、本当に嬉しい。願わくばこのイベントが、単なる国威発揚の場になるのではなく、共同してアジアの若者たちを育てていく、愛に満ちた教育の場になることを、心の底から願っている。

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ABUロボコン「沈む日本、浮上するアジア」

今朝NHK総合で、ABUロボコンエジプト世界大会が放送された。中国が見事な連覇を遂げ、残念ながら日本は予選で全敗。こんなことはロボコン史上初めてだと言う。それをみて、時の流れと世界の変化を感じた。おもえば、ABUロボコンが始まったとき、日本チームは圧倒的に強く、アジア各国と大きく水をあけていた。しかしその後、中国、ベトナムなど急速に力をつけ、日本は大きく遅れ始めた。なぜ日本は遅れ、アジア各国がこれほどの成長を見せたのか、きちんと分析する必要がある。番組を見ていて印象深かったことは、中国チームが、何度も試作、実験を繰り返し、ロボットを完成させていたことだ。大学の作業場の隅には、今までつくったロボットの残骸が山のように積み上がり、壊れた部品をいつでも交換できるようにしていたが、その試行錯誤への執念は、かつての日本の高専のチームや、ものつくりの拠点の町工場で見られたものと同じである。中国にはものつくりの精神が、脈々と宿り始めている。私達はむしろ今、それから学ばなければならない。

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スタジオパーク「注目される神経リハビリ」2010.11.4(木)13.40過ぎから7分間

脳卒中などで手にマヒがある障害を、脳波を抽出してある装置で支援することで良くすることができる医療が出てきました。慶応大学が行っている「神経リハビリ」とはなにか。世界が注目する最先端の医療、研究をご紹介します。よろしければご覧ください。

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