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テレビマンの育児日記(1)「受容って何だ?」

娘が生まれたのは今から23年前、自閉症とわかったのは2歳の時でした。その後、成長するにつれて、私たち両親に「悩み」が生まれました。それは、しつけるとき、どこまで強くしかっていいのかということです。自閉症の子はストレスに弱く、すぐパニックを起こしてしまいます。当時読んだ本に「受容が大切」という言葉がありました。強く叱るより、自閉症の子どもの行動を規制せず、言い方はよくないですが、まずは放任し、誘導するように社会性を身につけさせていく考え方です。おしりをたたくなどもってのほか。「スパルタ教育」は百害あって一利なし。そして、なによりも、自閉症の子が暮らしやすい社会こそ、優先されて作られるべきだとなります。

娘が幼稚園にあがるころ、私たち夫婦は、この方法を実践しているある施設を見学に行き、実は、少し考え込んでしまいました。その子たちはやりたい放題。確かにのびのびとはしていますが、社会の常識とは大きくずれ、このままではとても社会生活などできないように見えました。誤解を恐れずいうと、わがままを容認し、悪いのは社会のほうだと開き直っているようにすら感じました。

理屈は確かにわかります。しかし、実際の社会は自閉の子が生活しやすいようには、全くなっていません。無秩序な騒音が鳴り響き、けばけばしい看板が並び、無慈悲な人間の集団が、突然覗き込んだりちょっかいを出したりしてきます。轟音を上げてバイクや自動車が道路を走り、時には信号を無視していきます。もし自閉の子がその道路に飛び出し、事故を起こしそうになったら、おそらく親は、二度としないように強くしかり、スパルタ的なこともしてしまうかもしれません。「・・したらだめ!」という否定の言葉よりも、「・・しましょう」という誘導の言葉が大切とはわかっていても、「・・したらだめ!」としからなければならないときもある。危険に直面したわが子を前に、自閉の子に向いた社会ができるのを待っている余裕はないのです。社会が変わる前に、社会にあわせて最低限のことができる子を育てないと、自閉の子は生きてはいけないのです。

ジャーナリストの目から見ると、確かに最大の問題は、自閉症の人に寄り添わない社会制度の不備にあります。しかし現実には、目の前の問題を解決するために、折り合いをつけるしかないのも事実です。なんと不条理な世界。将来の社会変革を夢見ながらも、私は最近、自閉の子の心を傷つけず、うまい具合にとりあえず社会と折り合いをつけていく、未来型のシステムがないものかと、考えるようになってきました。

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