(アナ)太陽エネルギーで充電して照明に使うランプを、電気が使えない生活を続けている途上国に送ろうという動きが、日本のNGOや企業の間で広がっている。室山解説委員。どんなものですか?
(むろ)途上国に支援を送ろうという動きがさまざまな団体で行われているが、その一例を紹介する。(実物)これは太陽パネルとLEDのランプを接続したソーラーランタン。5h充電、5h照明が可能。携帯電話ジャックも付いている。このランタンをインド国内でつくり、電気のない村などに配布する運動が2年前スタートした。国内の個人、企業から募金し、50個をセットにして1村に送る運動。
(アナ)なぜ始めた?
(むろ)途上国には「貧困」と「温暖化防止」という二つの苦しみがある。世界で電気がない生活を送っている人の数は15億人。今後電化していく必要があるが、従来の発電でいくとCO2が急増し、途上国が地球温暖化の原因になってしまう。今後は「貧困」「温暖化」の二つの問題を、同時に解決する手法を見つける必要がある。太陽ランタンはその意味では、この二つの同時解決を可能にする発想の一つ
(アナ)電気のない暮らしとはどんな暮らし?
(むろ)(P2)電化されていない地区では、照明は、灯油ランタンやろうそくで行っているが、あまりにも暗く、夜は勉強も仕事もできない。すすで子供が呼吸器障害になったり、診療所にワクチンの保存ができなかったり、食糧保存もままならないなど、健康への深刻な影響も問題になっている。
(アナ)ソーラーランタンプロジェクトの進捗状況は?
(むろ)すでに130村に配布が終了したが、たった一つのランタンが一つの家に入ることで、生活が変わり始めている。(P3)太陽ランタンは、ソーラーセンターで一括して充電し、50個のランタン貸し出しをしている。その結果、子供たちは夜勉強することが可能になり、屋台、農家の作業、夜の手仕事など仕事もできるようになった。女性も職業を手に入れ、自立できるようになり始めている。ランタンは一晩4-5円で貸し出されるが、貸し出すセンターに雇用が生まれ、借りた人も太陽ランタンを使って仕事をはじめ、収入を得ることができるようになり、経済的自立や地域ビジネスが生まれ始めている。
(アナ)今後の展開は?
(むろ)ほかのNPOとも連携しつつ、運動をアフリカやアジアなど世界に広げ、世界の10億人に太陽の光を届けようというのが目標。将来的には、現在の各家にランタンがある状況を進化させ、学校、診療所、農作業、工場などを太陽エネルギーなどの再生エネルギーで運用し、スマートグリッドでつないで、安定したエネルギーシステムにしていく。この「カエル跳び発展」を成功させ、途上国の経済的自立を確立すれば、日本など先進国の貿易相手が誕生。WINWINの関係が作れる。そのような健全な関係を目指して、大きく運動も育ってほしい。
(アナ)ありがとう。
最近のコメント