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日高敏隆先生のご冥福をお祈りします。

日本を代表する動物行動学者の日高敏隆さんが亡くなった。79歳。肺がん。今から30年前、ぼくが科学番組のディレクターになった頃、「私の子供時代」という番組でお世話になった。周りから、「気難しく皮肉っぽい」と聞いていたので、緊張して取材を始めたが、実際にお会いしてみると、繊細で思いやりのある、本当に優しい人だった。先生が子供だった頃、渋谷は、家がほとんどない原っぱだったそうだ。その野原で、日高少年は日が暮れるまで、夢中で昆虫を追いかけた。その、純粋な自然への好奇心と感動が、その後、日高さんを世界的な動物行動学者にまで成長させる原動力となった。京都でお会いしたとき、学者や小説家がよく来る小料理店に僕を連れていき、長時間、人生や学問について語って下さった。今思えば、20代前半の若造の僕に、よくもあのように、対峙して下さったものだ。なんだかはずかしく、申し訳なく、また、ありがたさがこみ上げてくる。日高先生の業績には、「モンシロチョウの雄がメスを見分けるとき、紫外線を使っている」など、ユニークなものが多いが、その根底には、一見一つに見えるこの世界が、実は、様々な生物が、独自の視点でとらえた、多様な世界観の集合なのだという考え方がある。先生が翻訳した、ドーキンスの「利己的遺伝子」には、生物の体は遺伝子を運ぶ「舟」であり、遺伝子が多様化していく進化の糸を、後世につないでいく装置にすぎないと書かれていた。その発想の切れ味、斬新さ、驚き。「目からうろこ」とはああいうことを言うのだろう。いま、こうして思い出すと、僕の思想の至る所に、日高先生の影響があることを感じる。日高先生。本当にありがとうございました。先生の言葉を、僕なりに育てて、後世に伝えていきます。

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コメント

日高先生のご冥福をお祈りいたします。私の父親の専門が昆虫学であったため、少なからずとも共感を覚えました。
また一人日本の財産を失った感覚がして、残念に思います。

投稿: 国武大中武 | 2009年11月26日 (木) 07時35分

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