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2009年11月

スタジオパーク「広がるジオパーク」2009.11.24

(アナ)「世界遺産の地質版」ともいえる「世界ジオパーク」に、日本から3か所が認定され、注目されています。室山解説委員。ジオパークとは?

(室山)ジオ(地球)パーク(公園)。地球は生きている。地殻変動や火山活動で壮大な景観を示すが、そこに人間がすみ、文化を作るなどで、見事に共存している場所を「ジオパーク」という。ユネスコ支援で2004年開始し、現在19カ国、世界64カ所が認定されている。日本では昨年「日本ジオパークネットワーク」が発足し、今年認定された

(アナ)どこが選ばれた?

(室山)「洞爺湖有珠山」「島原半島」「糸魚川」の3か所。

(アナ)評価のポイントは?

(室山)「洞爺湖有珠山ジオパーク」

11万年前の地殻変動でカルデラ湖(洞爺湖)や多くの火山がある壮大な景観。そこに集落があり、人々が共存している。災害体験を伝える施設が多くあり、教育活動を熱心に展開。火砕流でできた土地は、なだらかで水はけがいいため、メロン、キャベツなどの畑として使われている。また地熱栽培で野菜や花も栽培されている。これらの農業は自然の恵みといえる。火山には鉱床ができるメカニズムがあり、硫黄の採掘がおこなわれてきた。海に山が崩壊したことで、岩礁が多く、砂底のため、タコ、カレイなどの住まいとなっている。このほかにもホタテ養殖なども行われている。火山の大きなもう一つの恵みは「温泉」。多くの人をいやす観光が成り立っている。9年前、有珠山噴火のとき、住民が見事に、無事に避難したことは今も語り伝えられている。自然を熟知し、火山と共存した人間社会の姿が高く評価された。

「島原半島ジオパーク」

普賢岳などの災害と共存し、島原市など、多くに人々が生活。「災害体験」「温泉」「農業」は、洞爺湖と同じようにここにもある。その他は、美しく豊富なわき水をつかったソーメンつくりが有名。また水の生活、文化をとりいれた武家屋敷や、火山石の石垣、面無橋(石橋)などがある。さらに火山都市国際会議(2007)を開催し、都市と自然との共生のメッセージを広く世界へ発信した。

「糸魚川ジオパーク」(新潟県)

糸魚川-静岡構造線などがあり、日本列島誕生のドラマを見ることができる。いたるところに断層があり、学習に使われている。断層沿いに「塩の道」(古道)ができ、古くから交通、産業、文化を支える場所となった。さらに、豊富なヒスイを使った「ヒスイ文化」が縄文時代から伝わってきた。美しいわき水を使ったお酒や、水深1000mの海底にベニズワイガニなども生息し、漁業に彩りを加えている。あちこちで活発な学習活動が行われ、自然との共存しながら熱心に「地域おこし」を展開している。

(アナ)日本の他のジオパークはどんなのがある?

(室山)他のジオパークも色々スタンバイしているが、先月、京都、兵庫、鳥取にまたがる山陰海岸も、世界ジオパークの候補となっている。今後も、「地球と人間の共存」を合言葉に、健全な地域おこしを実現しつつ、世界ジオパークに向けて成長していってほしい。

(アナ)ありがとう。

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スタジオパーク「広がるジオパーク」は明日放送

延び延びになっていたスタジオパーク「広がるジオパーク」は、あす24日(火)13.40過ぎから総合テレビで7分間放送します。(特に飛び込みの何もなければ・・)

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日高敏隆先生のご冥福をお祈りします。

日本を代表する動物行動学者の日高敏隆さんが亡くなった。79歳。肺がん。今から30年前、ぼくが科学番組のディレクターになった頃、「私の子供時代」という番組でお世話になった。周りから、「気難しく皮肉っぽい」と聞いていたので、緊張して取材を始めたが、実際にお会いしてみると、繊細で思いやりのある、本当に優しい人だった。先生が子供だった頃、渋谷は、家がほとんどない原っぱだったそうだ。その野原で、日高少年は日が暮れるまで、夢中で昆虫を追いかけた。その、純粋な自然への好奇心と感動が、その後、日高さんを世界的な動物行動学者にまで成長させる原動力となった。京都でお会いしたとき、学者や小説家がよく来る小料理店に僕を連れていき、長時間、人生や学問について語って下さった。今思えば、20代前半の若造の僕に、よくもあのように、対峙して下さったものだ。なんだかはずかしく、申し訳なく、また、ありがたさがこみ上げてくる。日高先生の業績には、「モンシロチョウの雄がメスを見分けるとき、紫外線を使っている」など、ユニークなものが多いが、その根底には、一見一つに見えるこの世界が、実は、様々な生物が、独自の視点でとらえた、多様な世界観の集合なのだという考え方がある。先生が翻訳した、ドーキンスの「利己的遺伝子」には、生物の体は遺伝子を運ぶ「舟」であり、遺伝子が多様化していく進化の糸を、後世につないでいく装置にすぎないと書かれていた。その発想の切れ味、斬新さ、驚き。「目からうろこ」とはああいうことを言うのだろう。いま、こうして思い出すと、僕の思想の至る所に、日高先生の影響があることを感じる。日高先生。本当にありがとうございました。先生の言葉を、僕なりに育てて、後世に伝えていきます。

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スタジオパーク「ジオパーク」またまた放送延期

あす予定していたスタジオパーク「広がるジオパーク」は、激動の社会情勢に押されてまたまた放送延期となりました。関係者の皆さま、本当に申し訳ありません。

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スタジオパーク「広がるジオパーク」2009.11.19

あす11/19(木)13.40過ぎから7分間、NHK総合テレビ「スタジオパーク:広がるジオパーク」というのをやります。ジオパークは世界遺産の地質版のことで、見事な地形変化(地球が生きている証拠)の環境の中、生態系や人間の文化が共存しているところをさします。今年日本の3か所(洞爺湖、糸魚川、雲仙)が世界ジオパークに決まりました。ジオパークとはどんなところかを解説します。お時間があればぜひともご覧ください。

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森繁久彌さんのご冥福をお祈りします2009.11.11

森繁久彌さんが亡くなった。96歳。老衰だった。森繁久彌さんほど、存在そのものが演技と直結した俳優はいなかった。ユーモア、悲しみ、頑固、洒脱、反骨、許容・・。ありとあらゆる人間の感情が、森繁久彌という人物でつながれ、精神の根源から独特の光彩を放っていた。森繁さんの言葉の「せりふは歌え、歌は語れ」も「舞台に出る前にいったんセリフを全部忘れて出る」(これもそうだと思うのですが。。。)も、あらゆるものが深い部分でつながっている、森繁さんらしい名言だと思う。私たちはまたしても、昭和の名優を失った。あらゆる人が死んでいく。死は、すべての人間に平等に訪れる。

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時論公論「電気自動車がもたらすもの」2009.11.4

(アナ)

究極のエコカーのひとつといわれる電気自動車の開発が活発になってきています。電気自動車とは何か?その可能性と課題について。室山解説委員がお伝えしま

(室山)電気自動車は、家庭のコンセントからも充電し、走ることができます。温暖化の原因の二酸化炭素を出さずに走れる「究極のエコカー」のひとつです。

(V1千葉県の幕張で今日まで行われた、「東京モーターショー」は、不況の影響で、参加企業が半減してしまいましたが、温暖化を背景に、環境技術が前面に出て、エコカー一色となりました。現在売れ行きが好調なハイブリッド車に並んで、各社の電気自動車がずらりと並びました。種類も多種多様で、来年発売の大型の5人乗りのものや、荷物を多く運べるカーゴタイプ、未来の乗り物を思わせる形のものまで、エコカーの中で、電気自動車の存在が、大きくなっていることを感じさせました。

電気自動車の特徴はどのようなものでしょうか。

P1一般的なガソリン車は、ガソリンを燃料として使い、エンジンで走るため、走行中、地球温暖化の原因のCO2を排出します。自動車が排出するCO2は、運輸全体の9割にあたり、対策が強く求められてきました。現在のエコカーの主流、ハイブリッド車は、ガソリン走行時のエネルギーの一部を電気にしてバッテリーにたくわえ、エンジンとモーターで走ります。そのためガソリン車に比べて、CO2排出と燃費が、およそ4割改善します。電気自動車は、そのハイブリッド車からエンジンをとり、車の外から電気を入れて、バッテリーに充電し、モーターだけで走ります。最近、リチウムイオン電池など、バッテリー性能が飛躍的に向上し、電気だけで走れる距離が、大幅に延びました。走行中のCO2排出はゼロ。発電所で電気をつくるプロセスを入れても、CO2の排出は、ガソリン車の1/4ですみます。燃費も、ガソリン車の1/4から、深夜電力を使えば1/13で済みます。電気自動車のライバルに、水素を使った燃料電池車がありますが、開発に時間がかかっており、電気自動車が一歩先行する形となっています。

電気自動車には、エコカーとしての特徴の他に、構造上大きな特徴があります。P21つめは、仕組みが簡単で、作りやすいという点です。ガソリン車の場合、車体を構成する部品の数は、およそ3万個。エンジンなども複雑で、特定のメーカーにしか作ることができません。ところが、電気自動車では、モーターも入手しやすく、部品は、少ない場合3000個程度で済みます。また、ガソリン車が、エンジン、シャーシなどの基本的なパーツに縛られ、設計に制約があるのに比べて、電気自動車は、モーターを車輪に入れたりして、自由な空間を生み出し、斬新なデザインと機能を追求することができます。

(V2この電気自動車は、コンピュータ制御で、車輪を別々に動かし、従来の車と、全く違う動きができます。ドライバーと音声を使ってコミュニケーションし、運転をより簡単にするシステムがあるなど、車というより、むしろロボットに近い乗り物です。一人乗りのこの車は、スピードと形を自由に変えながら走行できる、パーソナルカーと自動車が融合した、新しい発想の乗り物です。このように、電気自動車は、技術的に、敷居が低く、開発できる余地が大きいため、家電メーカー、玩具メーカー、IT企業など、いままで自動車と関係がなかった企業でも、新規産業として参入できる側面があります。「ビッグ3からスモール100へ」。一部の巨大な自動車産業の独占が崩れ、多種多様な企業が、開発を競い合う、新たな時代に入ろうとしています。

電気自動車には、エネルギー社会そのものを変えていく側面もあります。

(V3今後、太陽光発電などの再生可能エネルギーが、社会の中で、大きな役割を果たすようになっていきます。しかし、太陽光発電の場合、昼間しか発電できないという欠点があり、電気をどのように蓄えるかが課題でした。

(3もし、家庭の太陽光発電と電気自動車をつなげば、発電、走行のすべてで、CO2ゼロを目指すことができます。そして、夜間は、電気自動車に残された電気を、家庭で使ったり、災害の時などにも役立てれば、お互いの長所を生かし合うシステムができます。最近、再生可能エネルギーによる不安定な電力を、スマートグリッド(賢い送電網)と呼ばれる、ITを組み込んだ、新しい送電網で、ネットワーク化していくという発想が出てきました。中央のコンピュータで、家庭や企業の消費電力量を把握し、それに合わせて電力会社の発電量を決めたり、各家庭で発電された電力の余りを、リアルタイムで融通し合うシステムです。電気自動車付きの家と、このスマートグリッドをつなげば、各家庭の電力を、よりスムーズに、町全体で共有することができます。

さて、こう並べると、電気自動車は、いいことづくめで、今すぐにでも社会を変えそうな印象がありますが、そうではありません。今後、解決しなければならない、数々の課題があります。(P4)1つ目は、「バッテリー」の容量不足です。リチウムイオン電池の出現で、たしかにバッテリーは、大きく進歩しましたが、今発売されている電気自動車でも、走行距離は最大160キロ。長距離走行には不向きです。しかも家庭での充電時間は、満タンまでに14時間もかかります。現在20-30分で充電できる急速充電装置を、町の各所に設置しようとしていますが、まだ全国で80個所と少なく、十分な体制とはいえません。今後、リチウムイオン電池の性能を超えた、次世代バッテリーをいつまでに実現するのか、それとも、社会インフラを優先し、電気自動車をローカル型交通機関として充実させていくのか、未来図はまだ描ききれていません。

2つ目の課題は、「価格が高すぎる」ことです。現在発売されている電気自動車は、ある機種で460万円。国と最も進んだ自治体の補助金を合わせても、250万円もします。同型のガソリン車は158万円ですから、今後生産量が上がり、もっとコストが下がらないと、普及にはつながりません。

3つ目の課題は、意外にも「静か過ぎる」ということです。電気自動車は、モーターで走るため、走行中ほとんど音がしません。そのため、商店街や人通りが多い道に入った時、お年寄りや視覚障害の方々には、車が近づいていることがわからない危険性があります。このため、国やメーカーでは、走行中に何らかの音をつけることを検討しています。

このように電気自動車には、本格的な普及に向けて、まだいくつもの課題が残っています。さて、私は、電気自動車の最大の特徴は、社会と強く連動する点だと思います。たとえば、「静かすぎる」ことについても、本来これはいいことで、立体交差などで、人間と車がすみ分けし、人間優先の街になってさえいれば、問題ないことです。また、電気自動車は、走行中のCO2排出が、確かにゼロですが、効率の悪い火力発電所の電気を使っていては、意味がありません。つまり、電気自動車が使う電気を、どこでどのように作るのかが問われてくるのです。このように、電気自動車は、社会の低炭素化や交通行政のレベルを見る、リトマス試験紙のような存在でもあります。

さて、今年12月、デンマークで、京都議定書以降の、世界の温暖化防止体制を決める重要な会議が開かれます。低炭素社会を実現するための、国際社会のありかた、技術の在り方など、幅広い議論が行われます。私たち人類は、今まで技術を使って、豊かさを手に入れてきましたが、その半面、地球温暖化という負の遺産も残しました。そして今、技術が引き起こした問題を、新しい技術の力で解決しようとしています。電気自動車の向こうに透けて見える、様々な光と影を、丁寧に整理し、人間のための技術と社会の在り方を、もう一度、じっくりと考えてみる時期なのかもしれません。

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時論公論「電気自動車と低炭素社会」放送は11月4日(水)

11/3(火)放送の時論公論「電気自動車と低炭素社会」放送は11月4日(水)の放送に延期となりまhした。

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「双方向解説」と「時論公論」放送2009.11.3

11/3(火)10.0511.05-総合テレビ「双方向解説ここが知りたい・どんな国を目指すのか「温暖化交渉」」待ったなしの温暖化交渉ですが、米中の参加をめぐってし烈な駆け引きが続いています。-25%削減を打ち出した鳩山政権は、この難局をどう切り抜けていけばいいのかを議論します。

同じく11/3(火)23.50-24.00時論公論「電気自動車と低炭素社会」

開催中の東京モーターショーは電気自動車の花盛り。電気自動車とは何か?その可能性と課題を解説します。お時間があればご覧いただければ嬉しいです。

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