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技術者魂とパラダイムシフト

●「我が国の技術は世界一だ!」技術の分野を極め、その才能をほしいままにしてきたエリートが、よく使う言葉だ。しかし、私たちは、その言葉の陰に潜む落とし穴も忘れてはならない。最先端の技術は、その時代では先頭にあるが、時代のフェーズが大きく変わった時、あっという間に化石の技術となり、逆に革新のブレーキになることがあるからだ。

●その典型的な例が、戦艦大和だ。戦艦大和は製造当時、世界最大、史上最高のテクノロジーが結集した、前代未聞の巨大兵器だった。その巨砲は、はるか遠くの、複数の敵機を同時に打ち落とし、町すら破壊してしまう能力を持っていた。日本はもう大丈夫だ。戦艦大和が日本を勝利に導いてくれる!そんな幻想があった。。しかし、戦艦大和は、実際は殆ど能力を発揮しないまま、海の藻屑となった。なぜか。日本が巨大な戦艦をつくっていたとき、戦争を支える技術のフェーズが、すでに次の時代に移り、航空機の時代になっていたのだ。海から空へ。日本はそのパラダイムシフトに気づかず、旧時代のパラダイムの物作りをしていたのである。

●技術の世界では、パラダイムがシフトすることで、いままでの技術が全く無力になってしまうことがある。たとえば洗濯機の絞り機。昔の洗濯物は、洗濯機の横に着いたローラーを回転させて絞っていた。しかしその後、洗濯槽をそのまま回転させて脱水する手法が登場。高度な技術を持つ、頑固な技術者がローラー式にこだわり、いくら高性能なローラーを開発しても、所詮かなうわけがない。馬車から列車になるときも、刀から鉄砲になるときもパラダイムのシフトがおき、歴史は繰り返されてきた。

●NHKのドキュメンタリーの大先輩、相田洋さんの番組に、現在日本を代表する大企業の栄枯盛衰の物語がある。その企業は、かつて日本社会で活躍するすぐれた存在だった。しかし、時代が変化し、新しい時代に対応する戦略をとらなかったため、経営は停滞し、沈没を始めた。その間、会社を支える、当時のエリート達は、なすすべもなく、ただその様子を静観するのみだった。良かれと思った手を打っても、すべてが裏目となったからだ。しかしその企業は、その後、見事によみがえった。意外なことに、企業を危機から救ったのは、意外な人々だった。それは、いままで会社の戦列の最後列でバカにされていた「ダメ社員」達だったのだ。彼らは、確かに、古い時代では、頓珍漢な存在だった。しかし彼らの発想は、新しい時代にフィットした、新鮮な「創造力」を秘めていたのだ。この会社はその後、名前を変え、日本人なら誰でも知っている巨大な企業として生まれ変わった。

●私たちが物を作るとき、その技術がどのようなパラダイムの中で発想されているかが、いかに重要かを示すエピソードだと思う

●日本や世界を取り巻く状況は、今革命的に変化している。私たちは、技術力におぼれ、何かに大きく取り残されてはいないだろうか。自分たちが今作っている物が、戦艦大和になっていないか。十分に気をつけなければならない。

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