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生態系を守るためには人間界もつながっていなければならない(2008.7.14)

名古屋で「生物多様性キックオフシンポジウム」の司会をやった。リオサミットのとき気候変動とともにもう一つのテーマだった「生物多様性」は、地球温暖化の陰で目立たない存在。地球温暖化も重要だが、生物多様性の危機こそが、われわれ人類に存在の根底を揺さぶる大問題なのに、人々の目はそこにはあまり注がれていない。

シンポジウムの中で「コウノトリの復活」を遂げた街や、里山を守ろうとする村、そして富山県新湊の山に木を植える漁協の話などをまじえ、ディスカッションが続いた。 そのディスカッション全体を通じて感じることが一つあった。それは、「生態系を守るためには人間界もつながっていなければならない」ということだ。

生物多様性とは、生態系のつながりの中、それぞれの生物が豊かな遺伝子を展開する世界をさす。そこでは38億年の遺伝子と生物行動のつながりが見事に展開されている。人類はこの生物多様性から、衣食住にかかわる膨大な(目に見えにくい)恩恵を受けている。そもそも酸素を吸って生きることができるのも植物のおかげ。食物そのものも生物界のおかげ。最近では生物から薬や資源を作りだしたりもしている。

その生物多様性を守ろうと奮闘する人々には、共通の特徴がある。それは、「世代を超えて連携し」「よく話し、考え」「地域共同体とともに生きよう」と努力を続けているということだ。不思議な共通点。しかし、考えてみれば当たり前のことなのかもしれない。人間はいままで、自然環境を作り変え、破壊し、自らの共同体も、自然のサイクルの中から離脱する方向を目指してきた。巨大都市を作り、共同体を破壊し、個人主義のばらばらな欲望の中で、生きてきた傾向が強い。その結果、心の砂漠化とでもいえる状況に陥ったのだ。「人のつながり」の素晴らしさがわからない人間に、生物のつながりの素晴らしさがわかるわけがない。生物のつながりを守るには、まず人間がつながらなければならないというのは当然の帰結なのかもしれない。

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