沖縄の思い出2022.5.14

今から46年前、大学生の私は沖縄への旅に出た。道路工事でためたわずかなお金で、1か月の貧乏一人旅だった。旅の終わり、沖縄本島にたどり着いた私は、あまりの空腹と喉の渇きで、サトウキビ畑に侵入し、盗み食いをした。突然後ろから大きな手が私の肩を捕まえ「何をしている?」と問うてきた。畑の持ち主だった。「もう倒れるので1本頂いてます」と答え、さらに一本引き抜いて、目前でバリバリと食べた。私の顔をじっと見た後、「こっちへ来い」大柄なその人は私の手を引き、畑の外へ連れ出した。ああ、警察に連れて行かれるんかな?と思った矢先、「お前の体は臭い。俺の家に泊まってふろに入れ」と信じられない言葉。そののち、私に夕食をふるまい、次の日に朝食まで食べさせてくれた。私は何度もお辞儀し、その家を去った。東京に帰ってお礼の手紙を書いた。やがて私はNHKに入局し、そのことも報告した。とても喜んでいただいたその方は、すでにこの世にはいない。あの恩を忘れることはない。

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「自然エネルギーと安全保障」2022.5.2

「自然エネルギーと安全保障」
室山哲也(日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会長)
ウクライナ戦争の各国の駆け引きを見ていると、安全保障にとって、エネルギーがどれほど重要かがよくわかる。豊かな天然ガスを持つロシアに対して制裁をかけようにも、その天然ガスに依存していては、交渉の切っ先が鈍ってしまうからだ。今後、安定したエネルギーをどう確保するのか?とりわけ、自前の国産エネルギーをどう育成するかが重要なカギとなる。
日本は資源が乏しく、エネルギーも世界に依存しなければ成り立たない国だと言われる。しかし、東日本大震災による原発事故以来、エネルギーをめぐる様々な議論が起きている。その中に、日本がもともと持っている自然エネルギーのポテンシャルを見直そうという動きがある。
日本は国土が狭い島国で、陸地の広さは世界の61位だ。しかし、実は、海(排他的経済水域(EEZ))を含めると、なんと世界6位の広さの海洋大国なのだという。さらに海が深く、容積では世界4位。そこを巨大なエネルギーの黒潮が流れている。もちろん、その強烈なエネルギーはほとんど利用されてはいない。
この海洋を舞台に、洋上風力発電や、潮流発電、波力発電、温度差発電などを展開し、エネルギーの舞台とする計画が動いている。また日本周辺の海底には、固体状の天然ガス「メタンハイドレート」が眠っており、日本が消費する天然ガスの、100年分に近い量があるという試算もある。
また、日本の地熱エネルギーは、アメリカ、インドネシアに続き世界第3位。森林率は先進国では第3位で、バイオマスの宝庫でもある。
さらに、上空から太陽エネルギーがふり注ぎ、豊富な水資源と、豊かな風力にも恵まれた国なのである。
つまり、日本は自然エネルギーの宝庫なのだ。
CO2を出さず、無尽蔵で、なによりも国産エネルギーなため、安全保障上も頼もしい存在といえる。
2011年の東日本大震災の時のエピソードがある。
ある村が津波で壊滅し、夜は暗黒の世界となった。ところが、ある家だけが不思議なことに電気が灯っていた。その主は、かねてから、自宅で小水力発電をしていた老人だった。
「電気はいっぱいあるのに変な人だねえ」と、人々は、奇異な目で見ていた。しかしその家が、災害後、希望の砦となった。夜の村の一角を照らし、冷蔵庫もつかって、人々は寄り添い、災難を乗り越えたのだという。
もちろん、わずかな電気で、村全体を救うことはできない。
しかし、救援までの数日間、その人たちは、なんとか持ちこたえることが出来た。
このエピソードは、自然エネルギーは、災害時などの緊急時に、しぶとい地域を作り出す、重要なインフラなのだということを示している。
自然エネルギーは不思議だ。
単に電気を作り出すだけでなく、共に生活する地域社会が生み出す財産として、人々の心の絆をつなぎ、地域社会を強靭化する、横糸のような存在ともいえるのではなかろうか。
今後、国際世界は、環境、エネルギー、経済、安全保障を織り交ぜながら、激動期に入っていく。
その中で、日本や地域社会がどのように自立し、持ちこたえていくのかを考えるためにも、自然エネルギーにどう向き合うべきかを、考えていく必要があるのではなかろうか。
(日刊自動車新聞2022年5月2日掲載)

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ウクライナ戦争での情報操作について2022.4.8

ロシアの行為を「戦争犯罪だ」と糾弾するウクライナ。「すべてウクライナ側の捏造だ」だと?堂々反論するロシア(驚くべき厚顔?)。いずれにしても、大ウソをついている国がある。そしてその国は、今後、世界の信用を大きく失い、歴史の流れから転落していくのだろう。しかし、今も私の心は混乱する。現在進行中のこの状況の中の真実を、どう明らかにすればいいのだろう?正しい情報と、偽りの情報が交差する霧の中で、勇気ある多くのジャーナリストの報道をつないで、真実の方向性を感じ取っていくしかないのか?あるいは、いずれ解明される?第三者機関の、検証を待つしかないのか?歴史の不条理と混濁。失望と落胆。人間とはなんと罪深い存在なのかとすら思えてくる。

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「新型コロナとSDGs」2022.4.5

「新型コロナとSDGs」

室山哲也(日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)会長)

 

「もし人類が滅亡するとしたら、どんなプロセスをたどるだろうか?」

オックスフォード大学が、2015年に発表した「人類滅亡12のシナリオ」には、人類の未来を左右するさまざまな項目が並んでいる。

「気候変動」から始まり、「核戦争」「生態系の崩壊」「グローバル経済での格差拡大による国際システムの崩壊」「巨大隕石衝突」「大規模火山噴火」「バイオハザード」「ナノテクによる小型核兵器開発」「人工知能」「超汚染物質や宇宙人の襲来など未知の出来事」「政治の失敗」と続く中、3番目に「パンデミック(新興感染症)」があがっている。

私たちを悩ませている「新型コロナウイルス」は、この新興感染症の一つ。人間が、自然の奥深く侵入し、免疫をもたない「未知のウイルス」に感染し、現代社会の交通網に乗って世界中に拡大するメカニズムだといわれている。

ウイルスの変異は活発で、人間がたたいてもたたいても、新しいタイプのウイルスが現れる。このため、先進国だけが対策しても、開発途上国などの対応が遅れれば、変異が繰り返され、タチの悪いウイルスが現れ、先進国に再流入し、イタチごっこは終わらない。この構図は、人類全体で取り組まなければ根本的には解決しない点で、SDGs(持続可能な開発目標)のテーマそのものだと言える。

SDGsは、15年の国連サミットで、193カ国によって採択された。「環境問題」「貧困」「紛争」「格差」「健康問題」など、30年までに解決すべき17の目標が掲げられ、その下に169のターゲットが並んでいる。一見ばらばらの目標に見えるが、実はこれらは、根底で関連し合い、影響し合っている。

そしてその最も根本の部分に、「地球環境」があるのではなかろうか。

「命あっての物種」という言葉があるが、自然環境や生態系が壊れれば経済も、政治も、文化も成り立たないからだ。

産業革命以降、人類の人口は急激に増加し、地球環境に大きな負荷を与えてきた。エコロジカルフットプリントという指標でみると、人類は、すでに地球1・7個分の生活をしており、今の文明のパターンのまま、人類全員が日本人の水準の生活をすると、地球が2・8個、アメリカ人の水準の生活をすると、5個必要になるというデータもある(14年データ)。

地球は1個しかないわけで、このままでは、地球環境は疲弊し、資源は消耗し、私たち人間は、持続可能な生活を続けることはできなくなる。

これからは、私たちは「地球1個分の生活」をしながら、持続可能で、しかも豊かで質の高い生活をする方法を探さなければならない。

ではどうすればいいのか?

重要な方法の一つにテクノロジーがある。科学技術は、イノベーションと絡めていけば、効率がよく、最適で、人間を幸福にする社会をつくる力がある。中でも、自動車のありようは大きな影響を及ぼすものの一つだ。CASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)の方向性に従って、自動車が進化していくことは、今後の社会を大きく変える原動力になるに違いない。

(日刊自動車新聞2022年4月4日掲載)

 

室山哲也氏(むろやま・てつや)

1953(昭和28)年、岡山県倉敷市生まれ。76年NHK入局。「ウルトラアイ」「クローズアップ現代」「NHKスペシャル」などの科学番組、特集番組チーフプロデューサー、NHK解説主幹などを務めた。テクノロジー、生命・脳科学、地球環境問題、宇宙開発など、「人類と科学技術文明」をテーマに論説し、子供向け科学番組「科学大好き土よう塾」(教育テレビ)の塾長として科学教育にも尽力。モンテカルロ国際映像祭金獅子賞、銀獅子賞、レーニエ3世賞、放送文化基金賞、上海国際映像祭撮影賞、科学技術映像祭科学技術長官賞、橋田壽賀子賞ほか受賞多数。現在、日本科学技術ジャーナリスト会議会長。東京都市大学特別教授。

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ウクライナの人々を想う 2022.3.20

信じられない残酷な光景でした。

ロシアの軍隊が、ウクライナの広大な国土を取り囲み、侵入し、残酷な火器で次々に街を破壊し、子供を含む多くの市民を死傷させ、核兵器をちらつかせながら、次第に狂暴化していく姿・・。まるで19世紀の戦争です。しかもその戦争は、ミサイルやドローンなど、テクノロジーを駆使した近代兵器で装飾されており、さらにおぞましい印象を与えます。

核兵器の他、生物化学兵器などの大量殺りく兵器を背景にしながら、超高速ミサイル、原発への攻撃、繰り返される情報操作で、民主主義が破壊され、人類の安全保障が大きく揺らいでいます。

そしてその中で、今日も無辜の市民が犠牲になり続けています。

 

科学ジャーナリストは、このような時、どう考え、何を伝えていけばいいのでしょうか?

この非人道的行動が、科学技術開発、安全保障、民主主義、エネルギーや経済、情報社会、市民意識や教育などと関連し、複雑に絡み合って、引き起こされている現状を、どうとらえればいいのでしょうか?

 

野蛮な戦争は、一刻も早く終結させるべきです。

しかし、その背景は複雑で、今後整理しなければならないことが山積しています。答えは簡単に出そうありませんが、真剣に議論を続けることが大切だと思います。

 

それにしても、悲劇はいつも市民などの弱者に降り注ぎます。

私は、チェルノブイリ原発事故の番組取材で、10年間ロケを続け、その都度、キエフを拠点に、長く滞在したことがあります。原発事故の不安の中でも、キエフは美しい街でした。郊外に出ると緑があふれ、花が咲き、鳥がさえずっていました。独立広場で食べたおいしいアイスクリームも、家族が憩う団地のたたずまいも、居酒屋にいた人々の笑顔も脳裏に浮かんできます。

多くの知り合いもできました。

市内の団地に住む、タチアナさん一家は、ソ連時代の核実験場で被曝し、放射能汚染を免れて、キエフに移住してきました。しかしそこで再び、チェルノブイリ原発事故に直面するという、悲劇に見舞われました。消防士のご主人は、事故後、放射線による後遺症に苦しみながら亡くなりました。その家族が今、再びロシアによる恐怖に直面しているのです。

以前、タチアナさん達が、招待されて来日した時、家族を連れて、都内のホテルで再開しました。私の娘は自閉症で、それを知ったタチアナさんは、娘を強く抱きしめてくれました。弱い立場の人間をいたわる、心のやさしい人でした。その後も交流は続き、取材にいく仲間に義援金を託したりしましたが、消息が分からなくなりました。

ニュースで見る攻撃されるキエフの街角は、タチアナさんと歩いた場所です。その町で、多くの市民が犠牲になり、不幸の淵にあえいでいます。

あの人たちは今、どうなっているのだろう?

どこに避難して、生活しているのだろう?

食事はとれているのだろうか?

 

現地の凄惨な姿は、想像も及びません。

私は、自分の心も一緒に、武力で攻撃されているような、にぶい痛みを感じます。この戦争が一刻も早く終結し、少しでも平和な生活に戻ってほしいと、心から祈るばかりです。

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東日本大震災から11年2022.3.11

東日本大震災から11年。M9.0の観測史上最大の災害だった。プレート型地震は、プレートの接着部分(アスペリティ)がはがれて起きる。それまでは、過去200年ほどの観測データをもとに、どこのアスペリティがどのようにはがれ、地震を引き起こすかがある程度わかっていた。しかし今回、そのさらに遠くの沖合に、1000年単位ではがれる巨大なアスペリティがあり、それらが連動して起きた。未知のメカニズムに地震学者は驚愕し、自信を失った。自然の歴史に比べて、人類の歴史は短い。ことさら科学的知見はさらに短い期間に手に入ったもの。科学の未熟さといえばそれまでだが、私たちは、観測されていないものを、ないものと勘違いすることがある。「ない」のではなく「わかっていない」のだ。「ない」ことは証明できない。

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WFSJ Statement on the conflict in Ukraine2022.3.11

WFSJ Statement on the conflict in Ukraine

The World Federation of Science Journalists (WFSJ) is deeply concerned about the impact of the war in Ukraine on both science and those who report on and write about science. We fear for the physical safety of journalists, communicators and researchers, and their ability to fully engage with their work without threats of reprisal.

The WFSJ, which is a member of the United Nations Economic and Social Council, comprises 69 member associations across the world, representing more than 15,000 individual science journalists, writers and communicators. Many of them are from countries that have current or recent experience of war.

War is a violent disruption to peoples’ lives, and it obstructs the essential work of scientists and journalists. It impacts the quality of journalism and the safety of our members, who are key players in civil society and democracy. It disrupts the scientific research that is key to progress. It disrupts free communication, collaboration and access to data. It disrupts communication around science, essential information that citizens can use to make decisions about anything from technology to health.

In our current reality, war has interrupted global efforts to overcome the COVID-19 pandemic, as attention has swiveled from virus to war. After more than a week of military conflict and media restrictions, violence is escalating, media outlets are subject to censorship, and a humanitarian disaster is unfolding in front of us.

We support negotiations for peace, a peace that is just and fair and serves all human beings. We stand by the members of our community who continue to work in extremely difficult environments. We hope that international diplomatic efforts will soon result in a peace agreement, so the massive destruction can stop and the healing can begin.

 

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ウクライナ攻撃について、159名のノーベル賞受賞者による公開声明書が作成されました。


159名のノーベル賞受賞者による公開声明書が作成されました。
声明書の全文と賛同する受賞者リストです。

An open letter from Nobel laureates
The undersigned Nobel laureates voice our support for the Ukrainian people and the free
and independent state of Ukraine as it faces Russian aggression.
In a move that recalls the infamous attack of Nazi Germany on Poland in 1939 (using
similar tricks of feigned provocation) and on the Soviet Union in 1941, the government
of the Russian Federation, led by President Putin, has launched an unprovoked military
aggression — nothing else but a war — against its neighbor, Ukraine. We choose our
words carefully here, for we do not believe the Russian people have a role in this
aggression.
We join in condemning these military actions and President Putin’s essential denial of the
legitimacy of Ukraine’s existence.
There is always a peaceful way to resolve disputes. The Russian invasion blatantly
violates the United Nations Charter, which says “All members shall refrain in their
international relations from the threat or use of force against the territorial integrity or
political independence of any state.” It ignores the Budapest Memorandum of 1994,
which obligated Russia and others to respect the sovereignty, independence, and existing
borders of Ukraine.
Russia’s security concerns can be addressed within the framework of the UN Charter, the
1975 Helsinki Final Act, and the 1990 Paris Charter. To make war, as President Putin and
his collaborators have done, is an unwarranted, bloody, and unproductive way to a future.
The Russian invasion will stain the international reputation of the Russian state for
decades to come. It will pose barriers to its economy and inflict hardships on its
population. The sanctions imposed will restrict the ease of movement of its talented and
hardworking people in the world. Why raise this fence between Russia and the world
now?
Hundreds of Ukrainian soldiers, Russian soldiers, and Ukrainian civilians, including
children, have died already. It’s so sad, so unnecessary. We gather in this appeal to call
upon the Russian government to stop its invasion of Ukraine and withdraw its military
forces from Ukraine.
We respect the calm and the strength of the Ukrainian people. We are with you. Our
hearts go out to the families and friends of all, Ukrainians and Russians, who have died
and been injured already. May peace come to this piece of our beautiful world.

159 signees:
Name Category Prize Year
Peter Agre Chemistry 2003
Frances H. Arnold Chemistry 2018
Paul Berg Chemistry 1980
Thomas R. Cech Chemistry 1989
Martin Chalfie Chemistry 2008
Emmanuelle Charpentier Chemistry 2020
Aaron Ciechanover Chemistry 2004
Elias James Corey Chemistry 1990
Robert F. Curl Jr. Chemistry 1996
Johann Deisenhofer Chemistry 1988
Jennifer A. Doudna Chemistry 2020
Jacques Dubochet Chemistry 2017
Gerhard Ertl Chemistry 2007
Joachim Frank Chemistry 2017
Richard Henderson Chemistry 2017
Dudley R. Herschbach Chemistry 1986
Avram Hershko Chemistry 2004
Roald Hoffmann Chemistry 1981
Robert Huber Chemistry 1988
Brian K. Kobilka Chemistry 2012
Roger D. Kornberg Chemistry 2006
Yuan T. Lee Chemistry 1986
Robert J. Lefkowitz Chemistry 2012
Jean-Marie Lehn Chemistry 1987
Michael Levitt Chemistry 2013
Tomas Lindahl Chemistry 2015
Benjamin List Chemistry 2021
Roderick MacKinnon Chemistry 2003
David W.C. MacMillan Chemistry 2021
Paul L. Modrich Chemistry 2015
William E. Moerner Chemistry 2014
Ryoji Noyori Chemistry 2001
Venkatraman Ramakrishnan Chemistry 2009
Jean-Pierre Sauvage Chemistry 2016
K. Barry Sharpless Chemistry 2001
Dan Shechtman Chemistry 2011
Hideki Shirakawa Chemistry 2000
Sir James Fraser Stoddart Chemistry 2016
Sir John E. Walker Chemistry 1997
Arieh Warshel Chemistry 2013
M. Stanley Whittingham Chemistry 2019
Kurt Wuthrich Chemistry 2002
Angus S. Deaton Economics 2015
Robert F. Engle III Economics 2003
Eugene F. Fama Economics 2013
Oliver Hart Economics 2016
Bengt Holmstrom Economics 2016
Finn E. Kydland Economics 2004
Eric S. Maskin Economics 2007
Daniel L. McFadden Economics 2000
Robert C. Merton Economics 1997
Paul R. Milgrom Economics 2020
Roger B. Myerson Economics 2007
Edmund S. Phelps Economics 2006
Alvin E. Roth Economics 2012
Robert J. Shiller Economics 2013
Kazuo Ishiguro Literature 2017
Elfriede Jelinek Literature 2004
Herta Muller Literature 2009
Orhan Pamuk Literature 2006
Wole Soyinka Literature 1986
James P. Allison Medicine 2018
Harvey J. Alter Medicine 2020
Werner Arber Medicine 1978
Richard Axel Medicine 2004
David Baltimore Medicine 1975
Bruce A. Beutler Medicine 2011
Elizabeth H. Blackburn Medicine 2009
Michael S. Brown Medicine 1985
Linda B. Buck Medicine 2004
William C. Campbell Medicine 2015
Mario R. Capecchi Medicine 2007
Andrew Z. Fire Medicine 2006
Joseph L. Goldstein Medicine 1985
Carol W. Greider Medicine 2009
Jeffrey Connor Hall Medicine 2017
Leland H. Hartwell Medicine 2001
Harald zur Hausen Medicine 2008
Jules A. Hoffmann Medicine 2011
H. Robert Horvitz Medicine 2002
Sir Michael Houghton Medicine 2020
Tim Hunt Medicine 2001
Louis J. Ignarro Medicine 1998
David Julius Medicine 2021
William G. Kaelin Jr. Medicine 2019
Eric R. Kandel Medicine 2000
Barry J. Marshall Medicine 2005
Craig C. Mello Medicine 2006
Edvard Moser Medicine 2014
May-Britt Moser Medicine 2014
Ferid Murad Medicine 1998
Erwin Neher Medicine 1991
Sir Paul M. Nurse Medicine 2001
John O'Keefe Medicine 2014
Yoshinori Ohsumi Medicine 2016
Ardem Patapoutian Medicine 2021
Stanley B. Prusiner Medicine 1997
Sir Peter J. Ratcliffe Medicine 2019
Charles M. Rice Medicine 2020
Sir Richard J. Roberts Medicine 1993
Michael Rosbash Medicine 2017
James E. Rothman Medicine 2013
Bert Sakmann Medicine 1991
Randy W. Schekman Medicine 2013
Gregg L. Semenza Medicine 2019
Phillip A. Sharp Medicine 1993
Hamilton O. Smith Medicine 1978
Jack W. Szostak Medicine 2009
Susumu Tonegawa Medicine 1987
Harold E. Varmus Medicine 1989
Eric F. Wieschaus Medicine 1995
Torsten N. Wiesel Medicine 1981
Shinya Yamanaka Medicine 2012
Michael W. Young Medicine 2017
Carlos Filipe Ximenes Belo Peace 1996
Shirin Ebadi Peace 2003
Leymah Roberta Gbowee Peace 2011
Tawakkol Karman Peace 2011
The 14th Dalai Lama Peace 1989
Maria Ressa Peace 2021
Oscar Arias Sanchez Peace 1987
Juan Manuel Santos Peace 2016
Kailash Satyarthi Peace 2014
Jody Williams Peace 1997
Hiroshi Amano Physics 2014
Barry Clark Barish Physics 2017
J. Georg Bednorz Physics 1987
Steven Chu Physics 1997
Jerome I. Friedman Physics 1990
Andre Geim Physics 2010
Reinhard Genzel Physics 2020
Andrea Ghez Physics 2020
Sheldon Glashow Physics 1979
David J. Gross Physics 2004
John L. Hall Physics 2005
Serge Haroche Physics 2012
Klaus Hasselmann Physics 2021
Gerardus 't Hooft Physics 1999
Takaaki Kajita Physics 2015
Wolfgang Ketterle Physics 2001
Klaus von Klitzing Physics 1985
J. Michael Kosterlitz Physics 2016
Anthony J. Leggett Physics 2003
John C. Mather Physics 2006
Michel Mayor Physics 2019
Arthur B. McDonald Physics 2015
Gerard Mourou Physics 2018
James Peebles Physics 2019
William D. Phillips Physics 1997
H. David Politzer Physics 2004
Adam G. Riess Physics 2011
Brian P. Schmidt Physics 2011
Donna Strickland Physics 2018
Joseph H. Taylor Jr. Physics 1993
Kip Stephen Thorne Physics 2017
Daniel C. Tsui Physics 1998
Rainer Weiss Physics 2017
Frank Wilczek Physics 2004
David J. Wineland Physics 2012

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ロシアは野蛮な行為をすぐやめるべきだ2022.2.27

けだもののような欲望を理論や理屈で正当化し、野蛮な行為で人間の心をねじ伏せようとする信じられない光景。国の駆け引きで使われる「正義」の言葉の中で、今日も無辜の市民が苦しんでいる。このようなことが許されるはずがない。

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「自動運転と私たちの暮らし」2022.1.31

最近「自動運転」のニュースが目立つようになってきました。自動運転には大きなメリットがあります。たとえば、現在の交通事故の97%がドライバーの運転ミスですが、自動運転になれば事故が大幅に減ると言われています。また、渋滞が減るので、エネルギー問題や環境問題の解消にもつながるし、過疎地では、お年寄りを運んでくれる、頼もしい味方ともなります。

CASE」という言葉をご存じでしょうか?C(コネクテッド:通信でつながる車)、A(オートノマス:自動化)、S(シェアリング&サービス)、E(エレクトリック:電動化)を略した言葉です。

自動車は今、大きな革命期に入っており、自動運転は、ほかのテクノロジーの要素と絡み合いながら、社会に大きな変化を引き起こします。

車が、動くスマホのようになって社会とつながり、電気で走ることで気候変動を解決し、シェアカーの増加で、マイカーが減り、駐車場がなくなるので、町の様子が大きく変わります。「自動運転」を取り巻く影響は、単なる交通のみでなく、一種の社会革命をもたらすのです。

しかし、一方で、いくつもの課題があることもわかってきました。

自動運転のレベルは現在5つに分かれます。自動車はハンドルで左右に動き、アクセルやブレーキで縦方向に動いたり止まったりしますが、この縦、横の動きを、どの程度自動化しているかでレベルが決まります。

レベル1は、上記の動きの一つを自動化しているもの(自動追尾や自動ブレーキなど)。レベル2は上記の二つを自動化しているもの(車線を変えて追い越すなど)です。レベル12の車は、すでに多く市販されており、自動運転というよりも、むしろ「運転支援技術」といったほうがいいかもしれません。

その場合、運転主体はドライバーですから、事故責任は当然ドライバーが負います。

さて、問題はここからです。

レベル3以降は、運転主体はシステム(AI)です。レベル3はレベル2をさらに高度化したもので、高速道路などでは、ドライバーの監視下で、AIが自動運転を行います(万一の時はドライバーが運転をする)。レベル4は、一定の条件、例えば走行場所や時間、速度制限などの条件を守れば、AIが無人運転をすることができます(過疎地の無人バスなど)。そしてレベル5は、どこにでも無制限に行ける完全自動運転で、このレベルになると、もはや乗る人に運転免許は必要ありません。

ここまで説明すると、自動運転開発は、順風満帆で、実現はもはや時間の問題という印象を受けるかもしれません。しかし、技術が進化する一方、車(技術)と人間との関係について課題が見えてきました。

たとえば「法律上の問題」があります。

一つ例に挙げると、システムが自動運転をしている時に起きた事故責任は、誰がとるのかという問題です。自動車を製造したメーカーでしょうか?あるいは、車を所有しているドライバーでしょうか?

また、走行中の道路の表示が消えていたり、ゴミで表示が見えないために発生した事故は、誰の責任になるのでしょうか?事故原因のケースを想定すればするほど、責任の主体が増え、議論が複雑になっていく傾向があることがわかってきました。今後は、法律の整備が急がれます。

これらの課題の背景には「AIと人間の関係」という問題が横たわっています。

自動運転車はいつでも法律を守ります。法定速度40キロなら、絶対に速度オーバーはしません。すべての車が自動運転なら、おそらく交通は整然としており、事故も激減することでしょう。

しかし、人間のドライバーと混在したとき、問題が起きる可能性があります。

人間は時として、気まぐれで、予想外の行動をとるからです。また、時には法律を破ってでも、歩行者の命や安全を守ろうとする行動に出ます。

人間の意識やコミュニケーションは複雑です。

たとえば対向車がライトを点滅した時、その状況や回数に応じて意味が変わります。人間は、直観と、阿吽の呼吸でコミュニケーションをとります。

自動運転車のAIは、これらのあいまいな人間のコミュニケーションを、どこまで理解できるでしょうか?

これらのことを考えると、今後の自動運転の技術開発は、単に技術のみではなく、人間の心理や行動を、さらに理解したうえで、総合的に進める必要があるように思えます。

 

と、いろいろ課題を並べましたが、自動運転社会への動きは止まることはないでしょう。これから必要なことは、私たち市民がその状況に目を向け、社会の中で自動運転を育てていく意識が大切であることはだけは確かだと思います。

室山哲也(日本科学技術ジャーナリスト会議会長)

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「どうつくる?持続可能社会~新型コロナとSDGs」2022.1.30

オックスフォード大学が、2015年に発表した「人類滅亡12のシナリオ」というレポートがあります。もし、人類が滅亡するとしたら、どのようなプロセスをたどるかという報告です。内容をみると、「気候変動」「核戦争」「生態系の崩壊」「グローバル経済での格差拡大による国際システムの崩壊」「巨大隕石衝突」「大規模火山噴火」「バイオハザード」「ナノテクによる小型核兵器開発」「人工知能」「超汚染物質や宇宙人の襲来などの未知の出来事」「政治の失敗」と続きますが、3番目に「パンデミック(新興感染症)」があげられています。

実は、世界を混乱させている「新型コロナウイルス」も、この新興感染症の一つ。人間活動が活発化し、自然環境の奥深くに侵入することで、人間が免疫をもたない「未知のウイルス」に感染し、現代社会の活発な交通網に乗って、瞬く間に世界中に拡大するのです。

ウイルスの変異のスピードは活発で、世界各地で違ったタイプのウイルスが現れます。そのため、先進国だけが対策をしても、対応が難しい開発途上国で変異が繰り返され、感染力や毒性が強いウイルスが現れ、先進国に再流入するため、このゲームは終わりません。「新型コロナ」は、人類全体で取り組まなければ解決しない点で、まさにSDGsのテーマの一つといえます。

SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略称で、「エスディジーズ」と読みます。2015年の国連サミットで、加盟193か国が採択し、「環境問題」「貧困」「紛争」「格差」「健康問題」など17の目標を定め、2030年までに解決しようというものです。一見ばらばらの目標に見えますが、これらは根底で関連しあい、人類の未来を左右する重要な課題となっています。

SDGsが注目される背景に、何があるのでしょうか?

私が最も重要と考えるものに「環境問題」があります。

エコロジカルフットプリントという指標でみると、人類は、すでに地球1.7個分の生活をしており、もし全員が、今の文明のパターンのまま、日本人の水準の生活をすると、地球が2.8個、アメリカ人の水準の生活をすると、5個必要になります(2014年データ)。

しかし、地球は1個しかありません。このままでは、地球環境は疲弊し、資源は消耗し、私たち人間は、持続可能な生活を続けることはできません。

私たちは今後、地球1個分の生活をしながら、しかも豊かで幸福に暮らす方法を見つける必要があるのです。

ではどうすればいいのでしょうか?

エネルギーの面から考えてみましょう。

私たち人類は、今まで、石油や石炭などの化石エネルギーに頼りすぎ、気候変動などの深刻な環境問題を招いてきました。今後は、地球に負荷をかけない、「脱炭素エネルギー」が必要です。

その一つとして注目されているものが「再生可能エネルギー」です。

再生可能エネルギーは「太陽光」「風力」「地熱」「バイオマス」「海流」など、自然の力によって生み出されます。実は日本は、この再生可能エネルギーの宝庫なのです。

日本は陸域面積では世界61位の小さな島国ですが、排他的経済水域を合わせると、世界6位の海洋大国です。深い海が多く、容積では4位。そこに世界最強ともいえる黒潮が流れています。地熱エネルギーは世界3位、バイオマスを生み出す森林率も、先進国で3位。そして、日本全域に太陽光線が降り注ぎ、強い風が吹いている地域も多くあります。

このように、日本は、「自然エネルギー王国」であり、今後はこの自然エネルギーを、さらに生かしていく必要があります。

もう一つ、日本の強みとして「科学技術力」があります。

自然エネルギーと科学技術力をかけ合わせれば、大きな未来が生まれます。

政府が2020年に発表したグリーン成長戦略は、再生可能エネルギーを核とした成長戦略を目指しています。

たとえば海洋に洋上風力発電を建設する構想。海に浮かべるタイプの洋上風力発電には、日本の造船技術が使えます。また風力発電の羽根のまわりに「風レンズ」と呼ばれる輪を付けると、発電量が増加する研究もあります。さらに、火力発電所のCO2で海藻を育て、食料とエネルギーに転換したり、CO2を吸収するコンクリートなど、ユニークな研究が次々と生まれています。

SDGsは各国の個性を組み合わせ、人類全体で達成すべき目標です。

日本も、日本人が培ってきた知恵を組み合わせ、この人類の難局を切り抜けていく先頭グループで、活動を続けるべきではないでしょうか。

室山哲也(日本科学技術ジャーナリスト会議会長)

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「DXにどう向き合うか?」2022.1.7

授業中の大学生に、「もしスマホがないとどうなる?」と尋ねたら、「生きていけない」という答えが返ってきました。どうやらデジタル技術は、単なる便利という状態を超え、もはや私たちの生活全般に影響を与えているようです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)も、単なる業務のIT化を指すのではなく、ICTIoTAIなどを複合的に組み合わせて、産業構造や社会構造を、根本から変えてしまう要素を含んでいます。

GAFAのひとつのアマゾンは、ネット通販を進化させることで、世界各国に物流革命を起こし、映画館などのエンターテインメントビジネスを変容させ、消費者の意識と行動を一変させました。

また、使用されている「レコメンド機能」は、消費者の嗜好を把握し、商品を推薦してくれる便利なものである一方、私たちの潜在意識にまで入り込む点で、情報社会や文化といった、人間社会そのものに、大きな影響を与える可能性も持っています。

この意味で、DXは人類社会を真に豊かにする一方、進め方によっては社会的問題につながる側面もあります。今後は、社会と調和させながら、健全に育てていく必要があります。

しかし、日本社会のDXは、世界の先進国に比べて、一歩遅れを取っています。

経済産業省は「2025年の崖」という言葉を使って、日本の企業や社会は、古い経営感覚や社会通念を脱ぎ捨て、ICT社会に、正しく適応する必要がある。もしDXを行わないと、経済的には、2025年から年間で、現在の約3倍、最大12兆円の損失が生まれるだろうと報告しています。

日本は、今後、DXにどのように向き合っていけばいいのでしょうか?

ある研究者は、日本のAI研究は、先進国から2周遅れだと言います。

そういう状況の中で、日本は、「ソサエティ5.0」構想を掲げ、フィジカル空間とサイバー空間を、ビッグデータとAIを活用しつなぐことで、様々な日本の価値が融合した未来社会をつくろうとしています。その中に、ロボット技術とAIを連動させる計画もあります。

ロボット産業は日本が世界に誇る分野です。世界を席巻した産業ロボットはもちろん、ヒューマノイドや自動運転でも、日本は世界の先頭を走っています。

AIそのものの開発では遅れても、ロボットにAIが搭載される「ものつくり」とITが交差するIoT時代は、日本の起死回生のチャンスとなるかもしれません。

いまも続くコロナ禍は、皮肉なことに、社会のデジタル化を一気に加速し、テレワーク、遠隔医療、人工衛星による遠隔無人工事、スマート農業、ドローン宅配など、DXにむけた新しい生活様式を生み出し始めています。

その中で、最近注目されている「テレイグジスタンスロボット」技術をご紹介しましょう。これは離れたところのロボットと、操作する人が連動する技術です。

まず操作者は、センサーを通じて、ロボットの視覚や感覚を共有し、ロボットが体験していることを、あたかも自分が体験したように感じることができます。また、自分の体を使って、ロボットを自分の体のように操ることもできます。いわゆる「分身ロボット」の状態です。

この技術を使えば、人間が行くことができない災害現場や、海の底、宇宙空間、ミクロの世界でも、どこでも行って作業をすることができます。また、離れたところに住む年老いた両親の介護を、自分の分身として、ロボットにさせることも可能です。すでに都内では、体が動かない重い障害の人が、テレイグジスタンスロボットを使ってサービスする喫茶店も現れています。

このような試みも、今後日本が挑戦できる分野の一つといえるかもしれません。

とはいえ、DXを自分の会社や組織でどのように進めるのかは、むつかしい問題です。私は、取材していて、「AIを導入してDXをやる」ことのみが先行して、社内が混乱している社長さんを時々見かけます。当然なことですが、AIICTを導入すれば、そのまま、課題が解決するのではありません。その会社にどのような課題があり、どのような戦略で解決するのかといった、構造的な認識と問題意識があり、それとAIが結びつかないと、前進できないのです。その意味で、DXは単なる概念であり、魔法の杖ではありません。

まず自分の足元を見つめ、課題が何か?どうなりたいのか?というイメージをしっかりと持ち、DXに向き合っていくこと。そしてDXの中心には、常に人間がいることが必要です。その時初めて、真の意味でDXが花開くのではないでしょうか。

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あけましておめでとうございます。

2022年元旦

2年にわたるコロナ禍は、社会を大きく変え、自分の人生について考えなおす契機ともなりました。「災い転じて福となす」ということわざを思い出し、未来へのグランドデザインを描き直すチャンスなのかもしれません。

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日本科学技術ジャーナリスト会議入会のご案内2021.12.6

日本科学技術ジャーナリスト会議入会のご案内

私が所属している日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)は、現在新会員募集中です。活動に興味ある方、ぜひとも入会をご検討ください!

入会すると①著名な科学ジャーナリストとの交流②月一度の講演会や見学会への参加③科学ジャーナリスト賞への参加④世界科学ジャーナリスト連盟との繋がりなど、価値ある体験ができます。アクセスはhttps://jastj.jpまでお願いします

 

日本科学技術ジャーナリスト会議(JASTJ)とは

日本科学技術ジャーナリスト会議(Japanese Association of Science & Technology Journalists, JASTJ)は、科学ジャーナリズムの向上・発展のために、マスメディアあるいはフリーで働くジャーナリストや、企業や団体の広報担当者、科学コミュニケーションの研究者・実践者、科学技術に関心のある市民らで組織する団体です。個人会員数は約200人、企業や団体の賛助会員が15法人加盟しています。

勉強会や見学会などを通じて会員間や会員とニュースソース間での交流を活発にし、ジャーナリストやコミュニケーターとしての資質を磨き、見識を高めることを活動の目標としています。発足は1994年。1992年にユネスコ(国連教育科学文化機関)が主導して初の科学ジャーナリスト世界会議を東京で開いたとき、国内のジャーナリストたちでつくった組織委員会が母体となって生まれました。

 

活動の主な柱は以下の通りです。会員はいずれの活動にも参加できます。

 ①月例会

   第一線で活躍する科学者や政策担当者らニュースソースとなる人々を講師に招いた勉強会をほぼ毎月1回開催しています。

    例会とは別に、「ズーム井戸端会議」と題したオンライン情報交換会を不定期に開いています。会員間の懇親が目的で、どなたでも発案し会合を主催できます。

 

 ②科学ジャーナリスト塾

    科学ジャーナリストを目指す人や科学を伝えることに関心を持つ人のための半年間のトレーニングコースです。企画の作り方や取材の手法などを経験豊かなジャーナリストが指導します。(2021年度はコロナ禍のため休止中)

 

 ③科学ジャーナリスト賞

    優れた科学報道や科学書、科学コミュニケーション活動を毎年選定し「科学ジャーナリスト賞」を贈呈しています。2021年度で16回を数えました。会員は候補作を推薦し1次選考に参加できます。

 

 ④国際活動

     JASTJは、世界の60以上の科学ジャーナリストの団体が加盟する世界科学ジャーナリスト連盟(World Federation of Science Journalists, WFSJ)の創設団体の1つです。2002年の科学ジャーナリスト世界会議で連盟創設が決議されて以降、毎回の世界会議に代表を派遣、セッション立案や運営に協力しています。世界の科学ジャーナリストとの交流と相互支援が目的です。

2013〜15年にはアジアの若手科学ジャーナリストを育成・支援する「SjCOOP(スクープ)アジアプロジェクト」を世界連盟と共催で実施しました。

 

 ⑤なんでもプロジェクト

    会員が発案し仲間を募り協力して調査活動を展開してきました。現在は、福島第一原発事故の検証に取り組むプロジェクトが活動中です。

 

 ⑥出版

    会員の活動の中から以下の著作が生まれています。

「科学ジャーナリズムの世界−真実に迫り、明日をひらく」

「科学ジャーナリストの手法−プロから学ぶ7つの手法」

「4つの『原発事故調』を比較・検証する-福島原発事故13のなぜ?」

「徹底検証!福島原発事故 何が問題だったのか:4つの事故調の比較分析から見えてきたこと」

「科学を伝える−失敗に学ぶ科学ジャーナリズム」

 

なお、会員はJASTJの活動を報告する会報(年4回発行)を購読でき、会報のオピニオン欄などに執筆ができます。自由参加のメーリングリストで、催しの告知やさまざまな相談ごとの呼びかけもできます。

 

科学や技術は近年、ますます私たちの日常生活に深く関わりを持つようになっています。科学を踏まえ事実を正確に知ることがだれにとっても大事である一方、科学的な観点だけからでは解決が困難な課題も多くあります。科学をより深く知るとともに、科学と人間・社会の関係を見つめ、そこに見えるものを広く社会に伝えることが、科学ジャーナリストやコミュニケーターに求められていると考えます。

私たちとともに科学ジャーナリズム、コミュニケーションの世界を広げていきませんか。

 

2021年125

 

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8月6日の記憶

76年前、私の父(故郷が岡山)は8時15分頃に広島駅に到着する汽車に、友人とともに乗ることになっていた。しかしその朝、腹痛があり母親に強く止められた。友人たちは汽車に乗り、原爆で死亡した。自分だけが生き延びた負い目からか、父は、子供のころの私を何度か?原爆資料館に連れて行った。資料館はこわかったが、それが私の子供心の原風景の一つとなった。大学を卒業したのちNHKに入局し、なんの運命かヒロシマ局に2年間勤務したことがある。多くの被爆者の方々から、様々な体験を聞いた。番組に出演したサハロフ博士のアドバイスが、僕をチェルノブイリに赴かせた。被ばくの荒野で、放射線被ばくには「体の被ばく」とともに「心の被ばく」があることを知った。今日はオリンピックのさなかの原爆の日。時が流れ、人々の記憶が薄れていく。

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立花さん、安らかにお眠りください。

立花隆さんが亡くなっていたとのニュース。愕然とした。このところ音信がないので、どうされているのかと思っていた。立花さんとはNHKスペシャル人体「脳と心」の時以来のお付き合いで、いくつも思い出がある。突然携帯に「タチバナです・・」と電話が来て、ぼそぼそと私に質問してきた。私が解説委員だったころ、テレビ出演した時は「今見ている。面白い」とメールをくださった。退職時も「これからは自由で面白いぞ」と激励してくださった。NHK理事が表敬訪問したいといった時は、忙しいからと断るくせに、若輩ディレクターだった私のロケ(高野山での空海の修行の脳科学実験)には一升瓶2本を携えてふらりとやってきた。権威ではなく、好奇心に導かれた人だった。明け方4時まで泥酔し、文字と映像のパワーについて激論したこともある。私にとって、いや多くのジャーナリストにとって、頼りになる兄貴だった。顎に手を添え、上目遣いで話しかけてくる、茶目っ気のある顔が瞼に浮かぶ。立花さん、お世話になりました。どうぞ安らかにお休みください。

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10年前、僕の心が変わった。2021.3.11

正直言って、10年前まで、 新宿のネオン街で飲んでいるとき、電気が福島から送られてきているという意識はなかった。知識はあったが実感がなかった。お金さえ払えば、電気はどこからか届くもの。「私電気使う人。あなた電気作る人」・・そんな精神構造だった。しかし、あの事故で考えが変わった。わずか一か所の出来事が、日本全体をマヒさせる状況の異常さ。大量生産、大量消費の社会モデルの暗くて深い落とし穴。災害が起きても持ちこたえる、しぶとい社会とはどんな社会なのだろう?多様な要素で支えられ、人間の絆で裏打ちされているような地域の在り方を、もっと考えなくてはならない。

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安野さん、安らかにお眠りください。

安野光雅さんが亡くなった。NHKスペシャル人体「脳と心」の時、アドバイザーとしてずいぶんお世話になった。笑顔が素敵な、才能あふれる巨人だった。乳離れ直後の次男のことを年賀状に書いたことがある。もう大きいのだから、おっぱいを飲むのはやめなさいと諭したら「もちゅだて(持つだけ)」とせがんできた。その文章を読んだ安野さんは、「気持ちがわかる。感動した」と返事をしてきた。我が家の中にやさしい空気が流れた。愛に満ちた人だった。安野さん、安らかにお眠りください。

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阪神・淡路大震災26年

阪神・淡路大震災から26年。早朝、Nスペ班の同僚から突然の電話。「ムロちゃん、すぐテレビをつけろ!」画面には黒い煙が数か所から上がるヘリ映像が流れていた。最初はぴんと来なかった。しかし時間が過ぎるにつれて、ただ事ではないことがわかった。NHKに出社し、クローズアップ現代のチームを集めた。3週間前に起きた三陸はるか沖地震を取材しているチームにも電話し、そのまま神戸に向かえと指示した。青森県では、建築基準法改正前の住宅が倒壊しており、その問題をクロ現で警告するはずだった。しかし放送は中止となった。同じことが神戸で大規模に起きていたからだ。神戸には陸路では行けず、船をチャーターして海から上陸した。NHKではじめて大量の携帯電話を使用した。私はNスぺの統括プロデューサーとなり、現地から3日後の放送の臨んだ。下着も持たず、1か月間大阪局の廊下で睡眠をとった。自然災害の恐ろしさ。あの日のことは忘れない。

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謹賀新年2021元旦

あけましておめでとうございます。コロナ禍の不安の中の船出ですが、今年一年が平穏な年となりますように。皆様のご健康とご多幸を心からお祈りします。

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